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意外すぎる三國志の結末とその後の破廉恥三昧

●先週水曜日号で三國志の意外な結末を会食した中国人経営者が知らなかったという
エピソードをご紹介した。
それを読まれた複数の三國志ファンからメールで「意外な結末を教えてほしい」と
言ってこられた。
実は2018年にそのことを書いているのだが、あらためて手短にお届けしよう。

●日本人の『三國志』の知識は吉川英治の小説に負うところが大きい。
吉川作品は中国の「三国志演義」をモチーフにしていることから「蜀」の劉備が主人公に
なっている。
従って、三國志を(最後まで)読んでない方は、三国志の勝者も「蜀」の劉備だと早合点
されるが、そうではない。

●劉備の「蜀」は三国のなかで真っ先に滅んでしまうのだ。滅ぼしたのは曹操率いる
「魏」である。
「じゃあ、魏の曹操が勝ったの?」と考えるのも早合点。
ということは「呉の孫権が勝者?」と考えるのはもっと早合点。

●結論をいうと「晋の司馬炎」なのである。
司馬炎(しばえん)が魏の国を乗っ取り(クーデターに成功し)「晋」(しん)の国を
樹立する。その後、「呉」の国を滅ぼし、中国統一に成功しているのだ。
「魏」「呉」「蜀」の三国志なのに、「晋」が勝つという妙な結論がいかにも
魑魅魍魎(ちみもうりょう)の中国らしい。

●さて、司馬炎という男は戦国の世にあっては優れた指導者だったが、国王になったあとがいけない。政治への興味を一気になくしてしまったのだ。その情熱とありあまる時間を
すべて女性への色欲に注いだ
まず、総勢一万人の美女が暮らせる巨大な宮殿を建設し、美女を集めまくり、
自らの欲しいがままにした。

●なんという破廉恥。
劉備や孔明や曹操や孫権が天国でそれを知り、きっと大いに嘆いたことだろう。
現実問題として万単位の女性が一堂に集まると、夜伽の相手を自分で選ぶのは困難になる。何らかのシステムが必要だと考え、動物をつかうことにした。

●羊に夜伽の相手を決めさせることにしたのだ。
司馬炎は自分が乗った車を羊に引かせ、羊が止まった部屋の女性を相手にした。
究極の悪ふざけである。

●王の相手になれば富と権力が得られると考えた女性たちは知恵をつかった。

「どうすれば自分の部屋に羊が止まるか」

を真剣に考えはじめたのだ。
羊の好むエサを置いたり、水を置いたり、ニオイを強く発するものを部屋の前に置いたり
したがいずれも効き目がない。

●ある頭の良い娘は部屋の前に塩を盛った。羊は疲れると塩をなめることを
知っていたのだ。こうして、寵愛を受けた頭の良い娘は見事に子を成し、権力を握っていった。

●実は料理屋などの入り口に「盛り塩」が行われる今の風習も、このときの逸話が出発点になっているという。