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続・平家にあらずんば・・・

続・平家にあらずんば・・・

●前の記事の続き。

●20代のころ小売業界で働いて私は他店舗見学によく出かけた。
経費で出張できる立場ではなかったため、休日に身銭を切って東京や大阪などへ出かけた。
ミナミスポーツやスポーツタカハシ、好日山荘、ヴィクトリア、石井スポーツ、ジローなど当時有名だった店はすべてチェックし学んだ

●同僚と一緒に出かけることが多かったが、あるときK先輩が山手線で知ったかぶりの
迷言を吐いた。

「武沢、次がニシヒグレザトだぞ」

「西日暮里」なのに、どうしてわざわざこんな時にかぎって大声なのだろうと恥ずかしい思いをしたが、そんな珍エピソードの方が記憶に残っているものだ。

●今でこそ業界で有名なアルペン、ヒマラヤ、ムラサキ、ゼビオなどはこの当時、存在しなかったか視察対象ではなかったかのいずれかだ。

「お前ら、スポーツ店ばかりを見るんじゃないぞ。旬の店、話題の店は何でも見てこい」と先輩に言われた。
そこで渋谷まで出かけ、開業したばかりの「109」や「東急ハンズ」も見た。

●調べてみたら渋谷の「東急ハンズ」開業が1978年とあるから私は24歳だった。
こんなワクワクするお店は見たことがない、と一番興奮したのが「東急ハンズ」だった。
8年後の1986年に名古屋1号店が栄にできたときも感動したものである。

●その「東急ハンズ」が昨年秋、店名を「ハンズ」に変え、ロゴも一新された。東急系列を離れ、ホームセンターの「カインズ」系列になったことから社名も「株式会社ハンズ」に
改称された。その背景にあったのは業績の低迷である。あのハンズがまさかと思うがこれが栄枯盛衰である。

●世の中が変わればお店も変わる。うまく変われなかったときは、ゼロからやり直したほうがよい。廃業もひとつの選択肢だが、ブランド価値があるならば、事業売却も選択肢になる。

●「東急ハンズ」は私のなかで、ひとつの役割を見事に全うしたお店として印象的だ。
今後はカインズ系列の「ハンズ」として新戦略、新組織体制による新たな船出となるわけだが、カインズの「ハンズ」を早く見てみたいと思っている。

●名古屋栄のナディアパーク内にある「ロフト名古屋店」も今年の6月30日で閉店する。
こちらも27年間のおつとめを終えるわけだ。
(他のロフトは今後も営業する)

●1996年にロフト名古屋店が開業したときは事務所が近かったこともあり、頻繁に出向いたものだ。当時の賑わいは良く覚えているが、最近は週末でも客足は鈍く、私としてもこの数年間遠ざかっていた。

●こうしてみてくるとお店の賞味期限は20~30年、ハンズのように長くて50年ということになる。
昨日号でご紹介したアメリカの「シアーズ」は100年続いた。初期のカタログ通販会社からGMS(総合小売業)への転身に成功したから100年続いたが、デジタル化の時代を前にして巨像が倒れるように倒産した。

●レイクロックによるマクドナルドの開業が1955年。まもなく70年になるが、空前の好決算だという。
コカ・コーラにいたっては150年の歴史があるが、こちらも昨日発表された米国本社の決算は売上・利益ともに史上最高だった。

●マクドナルドやコカ・コーラが100年つづくのに対して、小売店の寿命が短めなのはなぜか。変えるものと変えないものとのさじ加減のバランスだが、勇気ある決断ができる優秀な経営人材を生みだしつづける社内の仕組みの有無ではないかと私はみている。

●セブン、イオン、ユニクロ、ドンキ、ヤマダ、ニトリ・・・。
これらの会社のうち何社が10年後の2033年も元気に活躍しているだろうか。今をよくみれば、ある程度予測することができる。

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