新著『ホームページにオフィスを作る』 野口悠紀雄著 (光文社新書)を読んだ。
同氏は、「超」整理法でおなじみで、そのサイト「野口悠紀雄オンライン」は、ビジネスマンの人気サイトの一つだ。
そして、このホームページ自体がもともとは、野口氏の個人専用ホームページだったという。
http://www.noguchi.co.jp/
・・・知的生産に革命を起こす「自分で使うために作る」ホームページ活用法初公開・・・という副題が、野口氏のコンセプトをすべて物語っている。
他人に見せることを前提にしていない。強力なリンク集を中心に、まず自分が使って便利なホームページを作ったというのだ。
それを他人に見せたら、相手も喜んでくれた、という広がり方もあるのだ。
ネットは「B to B (Business to Bisiness) 」や「B to C (busin-ess to Consumer) 」といった会社対会社、会社対消費者といった区分けだけでは済まない。
自分対自分、自分対企業、自分対家族、自分対友人など、あらゆる利用のされ方がある。
その中から今日は、「B to E 」といわれる、会社対社員のホームページをみてみよう。
地方工務店のA社(従業員20名)は、昨年から「経営計画書」をホームページに公開した。
最初は「BtoC」専用サイトを公開していたが、非公開のアドレスで社内専用のページを作ったのだ。
その理由は明快だ。
年に1~2回の経営計画発表会だけでは充分に方針が浸透せず、経営計画を作ることの意味に限界を感じておられたのだ。
残念ながらアドレスは公開できないが、同社のサイト「A社オンライン」のコンテンツは次のようになっている。
トップページには、経営理念と今期最重要テーマが表示され、メニューが並ぶ。
1.中長期ビジョン
2.全社業績計画・実績
3.事業部別計画・実績
4.今期個人別目標・実績
5.社員データベース(社員名簿+詳細プロフィール)
6.顧客データベース(顧客名簿+詳細取引データ)
7.経営カレンダー(向こう1~2年の社内行事予定)
8.Whats New(社長の週刊メッセージ)
9.文書データベース
規定・規則や各種書式、マニュアルなど
10.グループウエアへのリンク
同社は今、無料グループウエアを使用しており、そのページにリンクしている。
11.リンク集
社員から寄せられる「お気に入り」情報をもとにジャンル分けされている。
一般的な社内ネットと呼ばれるものとの違いは、インターネット上にサイトが公開されている点だ。セキュリティの危険はあるが、専用システムを作るのに比べ、破格のコストで構築・運営ができる。
A社長は語る。
「将来的にはきちんとしたセキュリティで保護していきたいのですが、もし他社に見られても困るもんじゃない。社員や私にとって必要な情報とは何か、を話し合って作ったメニューなので、利用率が高いのがうれしいですね。
今の課題は、情報のスピードです。出来れば昨日までの経営実績を今日見たい。それが実現するまでにはあと半年くらいかかりそうですが、社員から活用アイデアがたくさん集まってきているので一気に行けそうです。」
A社の試みをさらに機能拡張したものが「企業ポータル」といわれる製品群だ。
すでに大手ソフトメーカーが自社製品を投入し、普及に本腰を入れている。やがてはグループウエアよりも市場が大きくなると意気込むメーカーもある。私たちはそうした製品を研究するだけでなく、自社の都合にあわせた活用を今でも開始できるという事例をご紹介した。
【企業ポータル関連情報】
http://www.ascii.co.jp/digitaldashboard/
http://www.microsoft.com/japan/business/digitaldashboard/headline/headline_1.html
http://www.zdnet.co.jp/enterprise/0111/22/01112217.html