その他

サトーココノカドーのエコバッグ

サトーココノカドーのエコバッグ

●ある朝、リビングに見慣れぬエコバッグが置いてあった。どこかの店名だろうか、
「サトーココノカドー」とある。
なんだかイトーヨーカ堂みたいだな、と口にすると部屋にいた息子が「アニメに登場する架空の店だ」と教えてくれた。

●「イトーヨーカ堂」も太っ腹だ。よくそんな紛らわしい店名に苦情もいわずに黙認しているとは。
だが黙認どころの話ではなく、むしろイトーヨーカ堂はそれを宣伝材料にしているという。
アニメの舞台となった埼玉県春日部市に実在するイトーヨーカ堂春日部店は数年前の春、一週間限定で店名を「サトーココノカドー」に変更し、建物の看板もそのように作りかえて営業したという。

★春日部はクレヨンしんちゃんの町(建物屋上看板に注目)
 https://zou3blog.com/sato-kokonokado/

●そんな「イトーヨーカ堂」の創業者・伊藤雅俊氏が今月10日、98歳でお亡くなりになった。イトーヨーカドーのみならず、セブン-イレブン・ジャパンやデニーズジャパンの設立者でもある流通業界のカリスマ経営者だ。巨星がひとり、また世を去った。

●1960年代に食品スーパーといわれる業態が誕生した。
それ以前は八百屋、肉屋、魚屋、乾物屋、金物屋などの業種店しかなく主婦は買い物カゴをもって連日、それらのお店を買い回りしていた。
毎日の買物は重労働であり、苦役のようでもあったわけだ。

●食品スーパーが力をつけ、小売業界は一気に近代化した。また車の普及にあわせて郊外に駐車場付きの総合スーパーが誕生。ダイエー、ヨーカ堂、ジャスコ(今のイオン)などチェーンストア時代の到来であり、流通革命などと言われた。

●先駆者は中内功氏率いるダイエーだったが、ダイエーとの熾烈な戦争に勝利したヨーカ堂もショッピングモール戦争ではイオンの後塵を拝することとなる。だが、コンビニ戦争ではヨーカ堂の「セブンイレブン」が圧勝。いまイオングループとセブン&アイホールディングスの両社は流通業界の「二強」である。

●自分とは異なるタイプの人材を見つけてきて、その人に「任せる力」が備わっていた伊藤雅俊氏はまぎれもない名経営者だろう。
渡米中に偶然見つけた「セブンイレブン」を日本でライセンス展開するかどうか、最後まで迷ったという。後にセブンイレブンの社長になる鈴木敏文氏は、「7割反対、3割どうかな」というのが当時の伊藤社長のスタンスだったらしい。しかし「責任はおれがとる」と鈴木氏に大胆に任せ、成功させた。

●ここにきて「二強」の成長力は鈍っている。ヒタヒタとあとを追いかけるアマゾンジャパンの足音。まだ売上の規模において二倍の開きがあるものの、時間の問題で「三強時代」にもなり得る。あるいはまったく別の勢力図に向かっていく可能性もある。

「サトーココノカドー」のエコバッグから様々な思いを馳せた朝のひとときだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
売れてます! ■武澤信行 Kindle電子書籍(ビジネス小説シリーズ)を読む
(Kindle Unlimited 会員なら無料) ⇒ https://onl.bz/JQ1vQbd
――――――――――――――――――――――――――――――――――