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産業廃棄物処理A社の社内コンパにて

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産業廃棄物処理A社の社内コンパにて

●従業員12名の産業廃棄物処理業のA社では、年に4回全社コンパを行う。3、6、9、12月の第三水曜日に行われ、会場は近所の寿司屋の2階を借り切ってやると決めてある。

●ある年の12月、担当幹事はすこし趣向を凝らしてみた。
いままで飲んで騒いでカラオケを歌っておしまいだったコンパだが、A社長が
『がんばれ社長!今日のポイント』を読んで「稲盛流コンパ」なるものを知り、
それをやりたいと言い出したのだ。

●「稲盛流」とは稲盛和夫さんが京セラ設立時から大切にしてきた飲み会の流儀のこと。

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1.100%全員参加で行う(来られない人がいたら別の日にする
2.毎回のコンパにテーマと時間割を決めておく
3.参加者からは多少なりとも会費を取る
4.座席表を主催者が作り、各自は決められた席に座る(いつもの仲間同士でかたまらない)
5.毎回のテーマに沿って歓談する
  (たとえば「仕事と人生について」など。出席者数によってはグループ分けする)
6.リーダーは最後に大きな夢を語って定刻に終わる
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●いきなり完ぺきには出来なくても、少しはそれに近づけてやってみよう。
担当幹事は12月コンパの二週間前に社内通達をだした。

「年末ですから来年の目標を全員で発表しあいます」

社内に緊張が走った。いままでのコンパではちゃんとした個人発表などが行われたことがない。

「なにを発表すればいいの?」「酒がまずくなる」などと幹事に問い合わせと抗議が殺到した。

●だが、幹事としても社長の肝いりだから撤回するわけにはいかない。
追加の通達をだした。

「発表する目標は来年の仕事目標一つ、個人目標一つ、計二つは最低でもご用意下さい。発表時間は一人につき1~2分です。酒がまずくならないよう乾杯直後に発表してもらいますから良い準備をお願いします」

●そうして開催された年末コンパでの個人発表は、最初にしては上出来だった。
12名の発表が済むと場の空気は一気になごみ、いつも以上に座は盛り上がった。

●あれから3ヶ月経った。今度は「春コンパ」が行われた。
今回は事前に通達はなかったので、社員は単なる飲み会だと思っていたようだ。
「やれやれ、今回はひたすら飲める」と古参社員も安堵の表情だった。

●だが、当日は飛び入り企画が用意されていた。乾杯のあと突然幹事が立ち上がってこう言ったのだ。

「皆さん、今日も一人1~2分のスピーチをやってもらうことにします。テーマは昨年末に発表していただいた目標の進み具合についてです

●その後の個人発表ではかなりの修羅場が待っていた。

12名のうち仕事と個人の両方の目標を覚えていたのは4名だけ。あとの8名のうち7名は片方だけを覚えていた。1名はなんと両方を忘れてしまっていた。

●笑って済ませる問題ではないが、コンパ会場にあっては社長も幹事もその惨状を笑ってやり過ごした。
これが偽らざる現状なので、社員の目標意識を高めていくことができれば、伸び代は相当ありそうだ。

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