実話ベース物語

赤倉温泉とファミリーコンピューター

今日のYouTube新作

■【注意喚起】フィッシング詐欺顛末記

60代の知人男性から聞いた生々しいフィッシング詐欺の顛末記。
詐欺師はどのような手口で我々を欺くのか。
貴重な体験談から、身を守る方法を学びましょう。

赤倉温泉とファミリーコンピューター

好きこそものの上手なれというが、ゲーム好きの私がゲーム株投資で財を築けないはずはなかった。
誰よりも早くゲームに夢中になり、「これからは大のオトナもゲームを楽しむ時代が来る」ということを80年代なかばに言っていたのだから。
当時のゲーム会社は任天堂のみ。
ライバルも不在、サードパーティも皆無だった。

実際に誰もが堂々とゲームをする世の中になった。
ゲーム時代の到来を周囲に吹聴しながら痛恨の極みだったのは任天堂の株を買わなかったこと。
当時の私に今ほどの金融リテラシーがあれば15年前に「億り人」(資産一億以上の人)になっていた。

忘れもしない、1984年2月のスキー合宿。
当時の勤務先はスポーツ用品店チェーン。
主力商品がスキーだったため社員旅行は毎年スキーと決まっていた。
業績が良いと札幌や蔵王に二泊旅行ができ、業績が悪いと愛知や岐阜の近場で一泊となった。

そのシーズンはまずまずの業績だった。
行き先は新潟の赤倉温泉スキー場。
30歳になっていた私は社員教育の責任者として平均年齢24歳の若い社員にスキーを教えていた。
一日のトレーニングを終えて旅館にチェックインし、数人で一部屋をつかう。
私は管理職だったので後輩と二人部屋だった。

「武沢さん、温泉に行きませんか」と誘う後輩。
だが私は断った
「悪いが先に行っててくれ。僕はこれが気になるので」
目線の先にはテレビに備え付けられたゲーム機があった。
噂のファミリーコンピューターだとすぐわかった。
ドンキーコングやベースボールなど2~3本のソフトがあったがコインを入れずに部屋で遊べるゲーム機に夢中になった。

「ファミコンが欲しい」と真剣に思ったのはマリオやゴルフ、野球、三國志といったゲームらしいゲームが出始めた2年後のことだったが、仮に私が株式投資に興味があり、任天堂の株を100万円分買っておくリテラシーの持ち主だったとしたら2007年に5,362万円の資産ができていた。
23年で株価53.62倍、年率換算19%の複利運用ができていた。

実際には値上がりが順調な銘柄には追加投資をするはずだ。
私が推奨している毎月の貯株投資はそもそも継続投資を前提にしている。
そこで任天堂株を1984年から毎年12月に36万円ずつ貯株したとしよう。
月々で割れば3万円なので無理な数字ではない。
そして11年目の1995年からは収入も増えたので毎年の貯株額を60万円(月5万円)にアップしたとしよう。
すると23年後の2007年12月(53歳)で174,908,471円の資産ができていたわけだ。

なんたる怠慢。
忸怩たる思いである。
投資は100万円買って放置するよりコツコツと貯株する方が真水が増えるので資産額は大きくなる。
これぞ、と思えるような銘柄に出会ったときはその銘柄と運命を共にする。
惚れ込み過ぎるのは危険だが、惚れたくなるような銘柄に人生で何回出会えるか、そして実際に何回投資できるかが勝負である。