国内経済

エスプール(2471)

今日のYouTube新作

■「侮辱罪厳罰化」について思うこと

侮辱罪が厳罰化されました。
これからはSNSなどで個人に対する悪意あるコメントも厳しく罰せられます。
罰則を強化しなくちゃならん出来事が増えていることが本当の問題です。

エスプール(2471)

会社四季報最新号の分析を終えた。
いつも以上に時間をかけて丹念に調べた。
今起きている世の中の変化を知るための最強の教材、それが四季報を起点にして気になった会社のホームページをチェックし、さらに疑問があればネットで調べ物をするという情報収集法である
今回もたくさんの収穫があった。ひとつの例としてエスプール(東京P、企業コード2471)という会社をご紹介しよう。

高成長で高収益の会社なのだが自己資本比率が50%未満なので4K企業リストにはなかなか載らない会社だ。
しかし、やっている事業はいずれも順調だ。
それもそのはず、社会の問題を解決するための事業だけを起ち上げ、すべて事業化に成功させてきた会社だ。

とりわけ有名なのは障害者を雇用するための農園ビジネス。
ストックビジネスとしてエスプールの業績安定と拡大に大きな貢献をしてきた。
10年前にこの事業を始めるまでは株価も冴えなかったが、この事業以降、会社は様変わりした。

四季報の数字をみていて好調の秘訣をもう少し詳しく知りたくなった。
すぐに同社のホームページをチェックしたところ、次の九つの事業をしていることがわかった。

  1. 人材派遣/人材アウトソーシングサービス(祖業)
  2. 障がい者雇用支援サービス(農園事業)
  3. ロジスティクスアウトソーシングサービス
  4. セールスサポートサービス
  5. 採用支援アウトソーシングサービス
  6. 広域行政BPOサービス
  7. プロフェッショナル人材バンク
  8. 環境経営支援サービス
  9. 台湾向け越境ECサービス

会社四季報には「TCFD提言対応の情報開示支援が急拡大し、年間受注目標を第一四半期で達成」と書いてある。
さらには「広域行政BPOの今期累計拠点数は計画10から13に上振れ」とある。

TCFDとは「気候関連財務情報開示タスクフォース」のことで、(TaskForce on Climate-related Financial Disclosures)の略である。

ガバナンス(Governance)

どのような体制で検討し、それを企業経営に反映しているか。

戦略(Strategy)

短期・中期・長期にわたり、企業経営にどのように影響を与えるか。
またそれについてどう考えたか。

リスクマネジメント(Risk Management)

気候変動のリスクについて、どのように特定、評価し、またそれを低減しようとしているか

指標と目標(Metrics and Targets)

リスクと機会の評価について、どのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているか

東証プライムの企業はTCFDの開示義務があるが、コンサルできる会社は限られている。
コンサル料金もまちまちで、上は3,000万円から下は300万円までの開きがあり依頼する側もどうすべきか混乱している市場でもある。

プライム市場上場会社は1,800社。TCFDに既に対応している企業は2月時点で300~400社、残り1,400~1,500社がエスプールの顧客ターゲットとなる。
1件当たりのコンサルティング料も約500万円と抑え目である。
同社は年間40社の受注獲得を計画していたが、それを第一四半期で達成してしまったというわけだ。

500万円×40社=2億円。
年商300億のエスプールにとってTCFDだけでは事業がなりたたないが、この事業がストック型で収益貢献し、この事業を起点に次への拡張性が期待できるものであれば話は変わってくる。
未確認ではあるが、そうした可能性があるからこそ参入したと私はみている。

もうひとつは「広域行政BPO」。
行政機関の業務の一部を代行するサービスだ。
たとえば就労者支援に関する業務は同社の十八番といえる。
そうした専門性が求められる業務を行政から引き受けてきたわけだ。
その拠点が増えているということは、これもストック型に収益が積み上がっていくことを意味する。

会社四季報の記事にすべて目をとおす作業は修行僧がお経を朗読しつづける苦行と似ている。
食後に睡魔におそわれるので昼食は抜くか軽めにする。
でもエスプールのような会社と出会うと一気に報われる。
今回はそうした会社とこれまでになくたくさん出会うことができた。