ウィークリー雑感

ウィークリー雑感

この週末は印象的な出来事がたくさんあった。
もろもろ書き留めておきたいので、木曜日ではないのに「ウィークリー雑感」と題してお届けする。

1.石原慎太郎氏の絶筆

2月1日に亡くなった石原慎太郎氏が書き残した文章が見つかった
『死への道程』と題された2100文字程度の文章で、ちょうどいつもの「がんばれ!社長」程度の文章量である。
ちなみに今日の本文はいつもより短めの約1800文字である。

親族に文藝春秋への掲載を託したことから世に出た石原氏の最後の文章。
ワープロ専用機からプリントアウトされた原稿には、死に直面して無残にも葛藤する様子が文学者らしい表現でつづられている。

事の発端は昨年10月19日、腹痛が続いていることの原因を調べようと、病院を訪れた場面から始まる。
そこで見せられたレントゲン画像を眺め、言葉を失う石原氏。

・・・
「これで先生この後どれほどの命ですかね」
質したら、即座にあっさりと
「まあ後三ケ月くらいでしょうかね」
宣告してくれたものだった。
以来、私の神経は引き裂かれたと言うほかない
・・・

焼き尽くしたはずの膵臓がんが再発していたのだった。
迫り来る死は本人にもそうと予感させるもののようで、「完ぺきに死んでやる」と家族に語っていた。
長男の伸晃氏は「家族としては辛かった。かなり高揚している感じがしました」とのちに語っている。
翌月の3月8日、今度は妻・典子さんも大好きだった夫の横に寄り添うためにあとを追いかけるように亡くなった。

★石原氏の絶筆が載った『文藝春秋』

ゴッホ展

名古屋で開催中のゴッホ展を訪れた。
春めいた土曜日の午後ともあって会場の名古屋市美術館はかなりの賑わい。
ここだけはソーシャルディスタンスもなにもあったものじゃない。
「みんな、ゴッホよりふつうにラッセンが好き!じゃなかったの?
そう言いたくなるほどの混雑ぶりだった。

最初の10分ほどは行列に並んで展示作品をじっくり観ていたが、だんだん進みが悪くなり、端折って観ることにしたら集中力が切れてしまった。
ゴッホを観たい、ゴッホに会いたい、そんなつもりだったのに観客を観にきたようなものだ。
それでもところどころゴッホと真正面から向き合えた。
彼の情熱とも狂気ともいえるどろどろしたエネルギーは、石原氏の絶筆と相通ずる表現者ならではの強烈ななにかをもっている。
それは「分かって欲しい」という訴えのようなものだし、分かってもらえないかもしれないというもの悲しさでもある。

★ゴッホ展(名古屋市美術館)

芸能生活50周年『吉幾三特別公演』

名古屋「御園座」で開演中の吉幾三公演を観てきた。
前半(約90分)は演劇。
主役の社長役を吉幾三が演じているが、この台本はすべて彼ひとりで書いたらしい。
彼自身の歌も大半を作詞作曲しているので、相当マルチなタレントといえる。
30分の休憩では座席で弁当が食べられる。
年末の「歌舞伎座」は客席内での飲食が禁止されていたので好対照だが、スタッフが『黙食』と書いたプラカードを掲げて場内を循環していた。

後半(約90分)は吉幾三コンサート。
いきなり『雪国』『情炎』などの大ヒット曲が熱唱されたとき、その声量の豊かさと歌の迫力に圧倒された。
そう、私がここへ来た目的はこれを聴くためだ。
吉幾三の渾身の歌いっぷりである。
津軽三味線や尺八をバックに歌う楽曲にときには、昔、青森の山奥で尺八を聴きながらいただいた茸鍋のことを思い出した。
後半のコンサートの部分があまりによかったのでもう一度行きたくなり、今朝、チケットを再入手した。
二週つづけて同じライブを観るのはこれが初めてだ。
御園座公演は3月22日まで。
6月には大阪・新歌舞伎座で、7月には東京・明治座で上演される。
心臓にペースメーカーを入れて8年、先月新しいのと入れかえたばかりだという吉幾三氏(69歳)。
身体にメスを入れたとは思えぬ元気さと豊かな声量に最後のほうは泣けてきた。

★芸能生活50周年『吉幾三特別公演』


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