うちに戻ると息子が「お父さん、チョコ食べる」とストロベリーが入ったチョコを見せてくれた。「いや、要らん」と断ると、「そういえばダイエット中だったよね」という。たしかにその通りだが私はこう話した。
「我慢じゃないよ。欲しくない時に食べないというのは自然なことだからそうする」と。これは自分のメンタルに言い聞かせるためにも大切なことだ。
”ダイエットしてるからチョコを食べない”というのは我慢になる。我慢することはストレスを蓄積し、いつかチョコを食べたいだけ食べるという反動につながる。我慢ではなく自然だからそうするし、自然が一番心地よい、というのであればストレスフリーなのでリバウンドしない。このちょっとした認識の差は大きい。
例えばこんな目標をたてたとする。
・ダイエットに取り組んで10キロ減量に成功する
・日記を毎日書く
・毎朝 10キロジョギングして、年末のホノルルマラソンで完走する
・本を一年間で 100冊読む
・週に二日「休肝日」を設ける
これらの目標はいずれも素晴らしいし、チャレンジングである。にもかかわらず未達成に終わったり、目標をつくったおかげでかえって前より悪くなってしまうこともある。今まで年間に 50冊以上本を読んでいた人が「 100冊読む」という目標を掲げたおかげで 30冊しか読まなくなる、ということが。
それが「モラル化による反動」というものだ。本を読むとワクワクするからそうしていたのに、あるときもっとワクワクしたいと思って「年間 100冊本を読む」と決めた。そして一冊あたり 2時間で完読させようとタイマー片手に読むようになったら、とたんにたくさん本を読むことが「良い」ことで、本をゆっくり読むことは「悪い」ことになってしまった。やがて本そのものが好きでなくなってしまったという事が起こる。
「To-Do リスト」も取扱いに注意が必要だ。たくさんの仕事をこなそうと毎朝 To-Do リストを作成してから仕事にとりかかる。ところが、やることをリストにしたとたん、つまらなくなってやりたくなくなる。面倒くさいのだ。そうした心理はなぜ起きるのか。それも「モラル化による反動」と考えられる。
●ちなみに、ある日の私の To-Do リストをご紹介しよう。
・8時~9時半 ジム
・10時~12時 メルマガ
・12時~14時 ○○の新企画を仕上げる(パワポで)
・14時~15時 K 氏来社(1月セミナー打ち合わせ)
・15時~16時半 来月の通販重点商品決めと告知原稿
・16時半~17時 N 社の原稿作成
・17時~18時 来週の講演資料作成
・18時~21時 O 社幹部会議&懇親会
・21時半 帰宅
できれば To-Do リストなんて必要がない毎日にしたいと思うが、それは引退後にいくらでも出来そうだ。現役の今は、ひとつでも多くの To-Do をこなしたいわけだ。だが面倒くさい。そのジレンマを克服するためには、ジレンマの理由を知ることである。
なぜ To-Do リストはやりたくないのか、ということだ。それは、「作業指示リスト」だからである。ああしろ、こうしろと命じられたたくさんのリストを見てやる気が出る人はいまい。であれば、「役立ちリスト」とか「貢献リスト」「やりたいリスト」「やってやるリスト」などに変更する。当然、リストの表現も変わってくる。
「10時~12時 メルマガ」と書くのではなく次のようにする。
・10時~12時
26,000人超の待っててくれている全国の読者のために、渾身のメッセージを書き上げてどうだ、とばかり届ける
と書く。実際にそのように書いてもよいし、心の中でその思いを想起するだけでもよい。(私は実際にそのように書いている)
チョコを食べないのは、減量のための我慢ではなく食べたくないからそうする。それと同じように目標や To-Do も何かのモラルや義務感でそうするのでなく、そうしたいからそうしているはずである。
それを忘れないような工夫が必要なのである。
脱・モラル、脱・義務感をキーワードにしたい。