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2022年を迎える前に

2022年を迎える前に

●コロナ禍が私たちにつきつけた様々な現実のなかで私が驚いた事は世界のサプライチェーンが結構ギリギリのところで回っていたということ。
製品作り、輸送、配送が一時的にストップしただけで店舗や倉庫の品がなくなってしまうほどのストックで経済がまわっていたわけだ。

●どこかの工場で火災があっただけで世界の半導体需給が逼迫したり、どこかの運河でタンカーが座礁しただけで世界の海運が混乱するなどの事実を目撃してきた。
スケールが大きいことを「地球規模」と言ったりするが、その「地球規模」が思ったほど大きくないことを知ったのだ。

●新車販売が好調で特にトヨタのシェアが高まっている。
軽自動車を重視する他社を脇目に小型車・普通車に力を入れてきたトヨタが一人勝ち状況だというのだ。
その結果、生産能力を上回る需要が生まれた。

★参考:東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/456918

●いま新車は半年から1年待たねばならない。
ランドクルーザーなど一部の車種では納車に2年以上かかるものもあるという。
家を新築する場合、8ヶ月から15ヶ月かかるが、車の方が長い納期を必要とするのが現状だ。

●半導体不足の影響も大きい。自動車に半導体が使われているなんて意外、という方もいるようだが、実は自動車は「走る半導体」なのである。
身近なところではエアコン、エアバッグ制御、パワステやパワーウインドウ、オートロック、キーレスエントリー、シートのメモリー、車内LAN、駐車時の後方監視システム、側方監視システム、アンチロックブレーキ、クルーズ制御、エンジン制御、ETC、カーナビシステム、とちょっと数え上げただけでも20個ほどの電子制御がある。

●普通の車でも数10個から100個くらいの半導体が使われているそうだが、今後EVや自動運転車が増えると半導体はさらにたくさん必要になる。
そうしたことから車の半導体不足が続いているわけだが、9月末の在庫が9ヶ月ぶりに増加に転じた。
つまり逼迫感がやわらいだ格好だ。

●だが安心するのはまだ早い。
半導体在庫が関連業界すべてに行き渡っているわけではなく、「とりあえず最悪期は脱した状態」に過ぎない。

●来年こそ本格的な経済再開が期待される。そのときのリスクは、人手不足と品不足だろう。
求人力、生産力、調達力、販売力、管理力といった企業の基礎的な能力が業績格差に出やすくなる時期でもある。
米Amazonはコロナ禍の二年間で商品の在庫と物流に関する能力を2倍に拡張した。
その結果、出荷パッケージの数においてUPSとFedExを2022年までに抜いて世界最大になる見通しだという。
こうした俊敏な意思決定と行動力は手本にしたいものだ。

●来年、日本や世界の経済がどうなるかは予測しづらい。
米中関係や台湾問題など政治課題のほかに、オミクロンの動向も気になる。
ンフレがどの程度長期化するか、サプライチェーンがいつ平常に戻るかも重要だ。
半導体や一部の資源の品薄がいつまで続くかも気がかりだ。

●こんな舵取りが難しいときほどリーダーシップの発揮が求められる。
どこに向かって何をするのか、方針を明確にして新しい一年を迎えるようにしよう。