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ブランドについて思うこと

ブランドについて思うこと

●アディダス、マンシング、ラコステといった老舗ブランドはそもそも知らないことが恥である。
タッキーニ、フィラ、エレッセ、チャンピオンプロダクツ、ライトニングボルト、ノースショアなど続々入荷する最新ブランドを覚えないと仕事にならない。

●それが20代のとき、スポーツ用品店で働いていたときの私の日常だった。
毎日の検品・品出しのなかでそうしたブランド名とブランドの特色を覚えていくのだ。
ただ、ややこしいロゴマークのブランドは難儀した。
フランスのブランド「MONCLER」(モンクレール)などは初めて取り扱いを開始したときに店長から「モンクレア」と教えられたため、接客中に「モンクレア」が何度も出てお客に変な顔をされた。
そんな接客のあとはバックヤードに戻ってグチのひとつも出たものだ。
「これじゃあ、文句もれーるだよ」。

●「LONGCHAMP」(ロンシャン)というブランドも初めて百貨店でみてからしばらくは「ロングチャンプ」と思い込んでいた。
パリ郊外にある競馬場の名前をとってそのまま「LONGCHAMP」にしたそうだが、名前を拝借した側が世界的に有名になったわけだ。

●本来、ブランドとは世界の人たちに読んでもらえて覚えてもらえるように付けるのが良いとされる。
ただ欧米のトップブランドはHermes、LOUIS VUITTON、TIFFANY、CHANEL、GUCCI、Dior、など優しい読みとはいえない。
ROLEXなどは覚えやすさと高級感を漂わせるための造語らしいが、高級ブランドの多くは創業者の名前なので変えようがないのだろう。

●こちらも創業者の名前だが「LANVIN」、「LOEWE」も覚えづらかった。
「ランバン」はすぐに覚えたが「ロエベ」の方は今だに「ロウエ」と言ってしまう。

●「N°5」の読み方はフランス語で「シャネル・ヌメロ・サンク」で、英語では「シャネル・ナンバー・ファイブ」となる。
ギンザシックスで「N°21」のお店を見つけたときはてっきり香水の店だと思ったがイタリアのファッションブランドだった。

●名古屋の高級そうな自転車店で「ママチャリはありますか?」と尋ねたのは9月のこと。
よく知らずに入って野暮なことを聞いたこちらが悪かったのかもしれない。
若い女性店員が鼻水を飛ばす勢いで失笑し、「ありません」と即答した。
最初に鼻で笑ってから返答するところに彼女の真意がある。
「商店街の自転車屋と一緒にしないで」と言いたいのだろう。
こうしたお客と店のミスマッチは今後いろんな分野で起こりうる。

●どうやら高級路線のブランドはあえて読みを難解にして一般人に分かってもらう必要はないと考えているのかもしれない。
「N°21」のお店に入ってみたが、店員に野暮な質問はせず店をあとにした。
読み方が「ヌメロ ヴェントゥーノ」ということはあとからスマホで調べた。

●誰もがみんな知っている認知度抜群のブランドと、一部の人しか知らない難解なカリスマブランドとに分かれていくようだ。
あなたの会社はどんな路線なのだろうか。