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親や先生を尊敬していますか?

親や先生を尊敬していますか?

●小学校低学年のころ、上級生の悪ふざけグループが用務員に向かって「おい、こずかい」「おっさん」などの暴言を吐いたとして、全校朝礼で注意された。
そのとき校長はこう言った。

「年長者を敬いなさい。あなたがたの親、学校の先生はもちろんのこと、用務員さんや守衛の方々もすべて皆さんの親か、それ以上の年齢の人たちです。そうした人を敬うことであなた自身が成長でき、将来大人になったとき、今度は敬われる立場になれるのです。そうした社会の秩序を守ることが立派な人間なのです。立派な人になりましょう」

●素直な私は「その通り」と思い、年長者を敬ってきた。
当時の子どもは皆、校長先生の言うことに疑問を持たなかったはずだ。
だが最近はあやしい。
「どうして親や先生を尊敬する必要があるのですか?」「どこをみて敬えというのですか?」と言われてしまうかもしれない。

●2018年にOECD(世界協力開発機構)が世界186カ国の中学生2万人に行ったアンケート調査が話題を呼んだ。
中学生に聞いたのは、「親や教師を尊敬していますか?」という質問。
1位は韓国、2位の中国など、儒教系の国が上位にあるなか、なんと日本は186カ国中、最下位だったというのだ。

●「両親を尊敬しているか?」は世界の平均が95%に対し日本は25%。
「先生を尊敬しているか?」は世界平均90%に対して日本は24%。

すわ、一大事、すわ、日本がダメになっている・・・。
このデータを鵜呑みにしてそうした論調に乗っかってしまってはならない。

●私自身も親を尊敬しているかと聞かれたら「ノー」と答える。
敬はしていないが敬愛していると答える。
尊敬も敬愛も英語なら「Respect」しかないので諸外国の点が高いのだと私は思う。

●ほかにも、日本だけ目立って点が低い調査というのはこうした翻訳の問題が大きいはずだ。
だがネットではこうしたデータだけをデフォルメして伝え、日本をくさす人がいるから注意しよう。
ただ、あきらかにいえることは、長幼の序の精神が薄らいでいることは間違いない。

●ネットの影響も大きい。
ネットのオピニオンリーダーは大人や社会に対するアンチテーゼを売りにしてきたところがある。
そんな人たちだから、自分より年長の学者や政治家にタメ口で議論する。
見ていて違和感と不快感しか感じないため私はチャンネルを替えるが、多くの若者はそれをみて「かっこいい」と思い、影響を受けているはずだ

●念のため、今の道徳教育はどうなっているんだろうと思い文科省のサイトを見てみた。
ひょっとして骨抜きの道徳教育ではなかろうかという懸念もあったが、決してそんなことはない。
配慮まみれの苦心作という感じだが、大切なことはしっかり教えているのではなかろうか。

★道徳教育(文科省)
 → https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/doutoku/