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昨夜の「敬老パス」事件

昨夜の「敬老パス」事件

●映画館で夫婦50割引とか、シニア割引を利用したら利用料が安くなる。
映画好きにはありがたい制度だが50歳になった年は権利を行使するのに抵抗があり、あえて使わないときもあった。
オレは50なんかじゃない、という気持ちとそんな恩恵を受けるような側に回るのは早いという気持ち。
だがそのうち慣れてきて、いまでは堂々と権利を行使している。

●ただ、50歳以上であることを毎度毎度、免許証で確認するシステムは何とかならないものか。
みればわかるだろう、という気持ちもあるし、みてもわからないだろう、という期待もある。

●アメリカでは手のひらをかざせば買い物が済ませられる店もできた。
指紋情報とクレジットカード情報を紐付けしておけば、財布もスマホも持たずに完全手ぶらで買い物ができる。
そこまでのことを映画館には期待しないが、スマホをかざせばOKくらいのことはやってほしい。

●シニア割引チケットを見せているのに年齢確認されないのも不愉快だ。
先日は、私が両手にコーラとチュロスをもっていたせいもあるが、いつもの「免許証を拝見します」がなかった。
外見を見ればわかるということかもしれないが軽く失望した。

●名古屋市に住む65歳以上の人には「敬老パス」が発行される。
市バス・地下鉄などが無料になる。
また来年2月からは名鉄、近鉄とJR東海の市内区間も無料にになる。
さらに、名鉄タクシーやつばめタクシーなど一部のタクシー会社で電子マネーをチャージした「敬老パス」で決済すれば乗車賃が1割引になる。

●「敬老パスで払います」というと運転士に驚かれることがある。
本人確認のために免許証の提示を求められたこともあったが、悪い気はしなかった。
昨夜は若い運転士だったのでちょっといたずらしてみた。
「敬老パス」を差し出しながら「そんな年齢に見えないでしょ」と自分のほうから水を向けてみたのだ。

●すると相手は動揺し、しどろもどろになりながら返事した。
「ぜ、全然、みえませんです」と言う。なかなかの好青年だ。
「何だかむりやり言わせちゃったみたいで悪いね」とわたしが言うと、
「いえいえ、てっきり、うちのおとうさんくらいだと本当に思ってましたんで」という。

●内心、(お父さんかよ。父と言いなさい)と思いつつ、「で、あなたのお父さんはお幾つなの?」と聞いてみた。
仮に運転士が25歳とすると、お父さんは45歳のセンもある。
うなると私との年齢ギャップは22歳。
ワクワクしながら返事を待つと、彼はためらいもなくこう言った。
「お父さんはもうすぐ敬老パスがもらえると楽しみにしてましたから、たぶん64歳だと思います」
「へえ。で、あなたは?」
「あ、ぼくのとしですか、35です」

●お父さんと私は三つしか違わないではないか。
それに君、35歳ならもうすこしちゃんとした言葉づかいをしなさい。
第一、人を見る目がないというか、この手の話題をしたことがないのかね、きみは!そう内心で叱りながらタクシーを降りた。
愉快になりかけた気分もクシュンとしぼみ、自宅のチャイムを強く押した。