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地方の時代が始まるか?

地方の時代が始まるか?

●以前、断食修行のために数回ほど淡路島に行ったことがある。
”兵庫のハワイ”と言われるだけに温暖な気候とおだやかな人情、美味な食材にかこまれて、暮らすには最高だなと思ったものである。

●その淡路島に上場企業の本社がやってくる。
あの人材派遣の最大手「パソナ」である。同社は近年、農業や観光分野にも進出し、淡路島を基点に活動してきていたが今回は本社を移転してしまうというのだ。
グループ企業78社、15の国と地域に59の拠点を持つ同社グループの社員は約2万人。(契約社員を含む)
直近の売上は連結ベースで3,250億円もある巨大企業である。

●そんなパソナが4年以内に東京本社の社員1,800人のうちの1,200人を淡路島に移転させるという。
社員の働き方や生き方の選択肢を増やすための取り組みであるほか、BCP(事業継続計画)の実現にもつながるというのが同社代表・南部靖之氏の考えだ。

●無論、社員にも選択の自由があり、これまで通り東京勤務を希望することもできる。
わかりやすい移転メリットとしては、家賃が圧倒的に安くなること。
東京で1LDKだった部屋は3LDKになり、しかも家賃は10万円安くなるという。

●この驚きの決断には、もともと南部代表が兵庫県出身であり神戸在住であることも影響している。
さらには新型コロナの影響で都内で密に暮らすことの息苦しさや感染リスクを実感したこともあるだろう

●テレワークの普及と新型コロナの感染拡大は、世界の人たちの働き方を根底から変えようとしている。
本社を地方に移転する企業が増えたり、働く場所をより環境のよいところに変える個人も増えるだろう。

●アメリカの場合は、州ごとの自治が強く、法や税制までもが異なっているため企業や個人の移動もひんぱんに行われる。
ヘッジファンド大手「ダブルライン・キャピタル」のジェフリー・ガンドラック代表も移転を決めた一人。
最近のTwitterで「税率が低く、よく統治された州への移転を検討中」とつぶやいた。
そして不動産業者に好条件の連絡を求めている。
サンゼルスから離れるつもりのようだ。

●イーロン・マスクもカリフォルニア州とけんかし、本社と工場を同州ら移転することをツイートした。
もともとカリフォルニアは、富裕層への増税を検討中であり、そうしたことも彼らの移転プランにつながったわけだ。
全米中、どこも増税する州が多いなか、フロリダ州などは所得税を徴収しないので、富裕層が引っ越したがるのもうなずける。

●さて、パソナの場合はオーナー企業ゆえ淡路島移転という大胆な決断ができたわけだが、オーナーではない企業が同様の決断をできるか。
いずれにせよどこで暮らし、どこを仕事の拠点にするのかを比較的自由に選べる社会になりつつあることは歓迎したい。

<参考記事>
★朝日新聞デジタル記事(有料会員記事)
https://ganbare.biz/comon/ry24

★ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-28/QHBQI9T0AFB501

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