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ビールの常識を変えよう

ビールの常識を変えよう

●毎年9月中旬から10月上旬にかけてミュンヘン(ドイツ)で開催されている世界的ビール祭「オクトーバーフェスト」。
日本でも同名のイベントがあるがスケールがまるで違う。
ビール好きとしては本場に行こうと一年前から計画していたが、なんと今年は中止になってしまった。

●「ミュンヘン・札幌・ミルウォーキー」をご存知だろうか。
サッポロビールが1950年代の広告で世界三大ビール産地としてこの三都市を大いにアピールし、札幌と一緒に「サッポロ」のブランドを売り込んだ。

●「ミュンヘン・札幌・ミルウォーキー」は語呂がよくて覚えやすい。
そういう点でよくできたコピーである。いずれも北緯45度ライン近くにあり、ビールの原料「ホップ」の生産に適しているのが共通点。

●ミルウォーキーはアメリカ・ウィスコンシン州最大の街であり、ハーレーダビッドソンの本社があるところとしても知られている。
ゲルマン系やドイツ系住民が多いことから醸造技術が発展し、「ミラー」を始めたくさんのアメリカンビールを生産している。

●学生のころ、社会科の先生も「ミュンヘン・札幌・ミルウォーキー」を連呼していた。
そのせいか、私は今までビールの世界三大産地はこの三都市だと思い込んできたが、調べてみたら今では大違い。
サッポロのCMから半世紀以上も経っているのだからビールの産地だって様変わりして当然かもしれない。

●今のビール生産国ランキングはこちら。

<2018年データ>
1位:中国  (20年近く連続世界一)
2位:アメリカ
3位:ブラジル
4位:メキシコ
5位:ドイツ
6位:ロシア
7位:日本
8位:ベトナム
9位:イギリス
10位:ポーランド

中国・ブラジル・メキシコの台頭、それにロシアやベトナムの追い上げ。
世界のビール事情は激変しているようだ。

●では、世界のビール消費量ランキングはどうか。
生産量と消費量は連動するようで、ほぼ似たような結果になっている。

<2018年>
1位:中国
2位:アメリカ
3位:ブラジル
4位:メキシコ
5位:ドイツ
6位:ロシア
7位:日本
8位:イギリス
9位:ベトナム
10位:スペイン

(データ元:キリンビールHP)
★世界のビール生産量/消費量
https://www.kirin.co.jp/company/news/2019/0808_06.html

●国民一人あたりのビール消費量はどうか。
こちらはまったく様相が変わってくる。
こんな結果になった。

1位:チェコ共和国(26年連続1位)
2位:オーストリア
3位:ドイツ
4位:ルーマニア
5位:ポーランド
6位:アイルランド
7位:スペイン
8位:スロバキア共和国
9位:ナミビア
10位:クロアチア

●ちなみに我が日本は一人あたりのビール消費量は年間40リットルでチェコの4分の1。
ランキングは52位に甘んじている。
40リットルということは、350CCの缶ビール115本分。
日に一本しか飲んでいないことになる。
ビール以外のお酒を含めても年間80リットルで、ピークだった1992年の102リットルから2割減った。
成人人口が増えているのに、日本人全体のアルコール離れが進んでいるわけだ。

●「とりあえずビール」。
そのあとチューハイにしたりホッピーにしたり、焼酎にしたりワインに行ったり日本酒にしたり。
酒類が豊富なのも日本のビール消費量を押し下げているのだろう。

●ダントツ世界一のビール消費を誇るチェコはピルスナーの産地である。
旅行してきた人の話では、プラハには『Beer Spa』(ビール風呂)があるそうだ。
ビールのジャグジーが、肌をすべすべにしてくれるそうで、入浴中は生ビールが飲み放題になる。
以前は大きなバス停には生ビールの自販機もあったそうだ。

●東京・大阪・名古屋には『世界のビール博物館』という店がある
以前大阪の店に行ったとき、店員さんにチェコビールをさかんに奨められたのだが、それが今、合点がいった。

古いビールの常識はこの際、変えよう。

「誤」:ミュンヘン・札幌・ミルウォーキー
「正」:中国・アメリカ・ブラジル・チェコ