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二つの○○市

二つの○○市

●昨日のメルマガはこんなクイズで終えた。

日本には同一漢字で同一の読みをする市がふたつある。
それは何市と何市か?

●同じ市町村名が複数あるとまぎらわしくなることから、同一名称は使わないのが決まり。
しかし「絶対ダメ」というわけでもなく、例外もあるということだ。
現時点で同一名称の市はふたつある。
「府中市」(ふちゅうし)と「伊達市」(だてし)だ。

●広島県にある「府中市」は1954年3月31日に誕生した。
京都にある「府中市」はその翌日の1954年4月1日に誕生した。
わずか1日違いで生まれてしまったのだ。
まったく余談だが、私もそのころ生まれている。

●「伊達市」は北海道と福島県にある。

北海道の「伊達市」は1972年に誕生した。
明治政府の命をうけて宮城県より伊達氏(仙台藩の分家)が集団移住をしたことが始まりとなっている。
一方の福島県伊達市の方は2006年に5町が合併してできた。
海道に遅れること34年、なにゆえ同名の市が許されたのか。
もともとあった地名「伊達郡」は伊達氏発祥の地。
なんとしても名前を残したかった福島側は総務省に「同じ名前は絶対ダメなんですか?」と再確認した。
事情を察した総務省は「北海道の伊達市が良いというなら良いよ」と回答した。
打診を受けた北海道の伊達市が「特に異議はありません」とのことで、晴れてふたつめの「伊達市」が誕生したという。
二つの伊達市はともに伊達氏に由来しているわけだ。

●ちなみに、埼玉にも大阪にも「狭山市」(さやまし)がある。
お互い、地元では「狭山市」と言っているが、大阪の方は「大阪狭山市」が正式名称なので混乱はないはず。とはいってもゼロではない
ときどき全国チェーンなどでは電話やネットで間違いが起きているらしい。

●平成の大合併で栃木県に「さくら市」ができたのが2005年のこと。
そのときは千葉県の佐倉市が難色を示した。公式な抗議ではなく、佐倉市民がネットなどで「さくらを名乗る必然性がない」などと訴えた。
「千葉にあるさくらです」と言わねばならないのはたしかに面倒だ
だが「さくら市」は誕生した。
同じ呼び名でも文字が違っていれば認められるという先例が次のようにたくさんあるからだ。

「いずみ市」(大阪と鹿児島)
「かしま市」(佐賀と茨城)
「こうなん市」(愛知と高知)
「こが市」(茨城と福岡)
「さかい市」(大阪と福井)
「つしま市」(愛知と長崎)
「ほくと市」(北海道と山梨)
「みよし市」(愛知と広島と徳島)
「やまがた市」(山形と岐阜)

●そういえばアメリカにも首都「ワシントンDC」と西海岸に「ワシントン州」がある。
ほかにも同一都市名がいくつかあるが、その話題はまた来週。
明日は「ウィークリー雑感」の日。