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企業カルチャー その2「ノードストローム、エンバシースイートの場合」

Rewrite:2014年3月31日(月)

Pさんのレポートつづく。

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<ノードストローム:本店とブレア店>

シアトルに本社がある百貨店「ノードストローム」の本店とLAから車で約1時間はなれたブレア店を訪問した。日本でもベストセラーとなった「ノードストーム・ウエイ」という本を、私も購読しており、顧客満足といえば真っ先に思い浮かぶほどの百貨店である。

全米で最も人気のある百貨店として評価されており、売上規模こそ業界6位だが、顧客満足度の高さは折り紙つき。ある調査では、利便性、品質、価格、接客など38の調査項目に対して12項目でトップと圧倒的な支持を受けている。

1901年、創始者、ジョン・W・ノードストローム氏がシアトルに靴屋として創業し、ちょうど百年で現在の地位を築いたことになります。企業ポリシーは明快で次の一行。

「”Use your good judgment in all situations.”」
いかなる状況でも、あなたの良識を最大限に発揮して下さい。そして素早く実行しなさい。

この言葉は、Employee Handbook(社員ハンドブック)として全従業員に配られている。私も同様なものを頂いたが、ハンドブックと書かれているので、分厚い本だと思っていたら何と1枚のシートだった。

ところで「100%返品OK」は本物か!?
書籍によれば100%返品OKとあります。レシートがなくてもOKというだけでなく、他店で買ったものでも返品を受けると聞いたことがあります。実際に体験してみることにした。
ツアー主催者のAさんが、「2年前にシアトルで買ったこの靴、窮屈なので返品したい。替わりにこの靴を買う」とレシートもなく申し出たのである。すると、店員さんは最高の笑顔で「勿論OK」との返事。さらに、「返品された靴が170$、交換する靴は265$だから95$の差額をお支払い下さい」と返答した。
Aさんが「買ったときは、200$と思ったけど」と言うと、何か調べずに「OK OK。では、65$のお支払いです」と言ったのにはびっくりした。無条件で応じる、無条件返品、返金制度とのポリシーは本当のことであった。

そして、印象的だったのが店内にある総合案内コーナー。日本のデパートにも案内カウンターがあるが、雰囲気は全然異なる。来店客と盛んに世間話などをしながら、満面の笑顔で対応している。決して面倒がらずにニコニコ顔で道案内や子供の話などにも応じているのだ。しかもそれらの会話は社内のネットワークを介して上長やメンバーと共有化されている。顧客の声を共有し、スピーディにサービスに反映させているとのことであった。

<エンバシースイートホテル>

このホテルは、視察しただけでなく、実際に私たちが宿泊したので、深く印象に残っている。
かつて米国ホテル顧客満足調査のオールスイート部門で、第一位を獲得したホテルで、宿泊客に対し、常に「100%満足保証」を約束・実行しており、利用者からたいへん高い評価を受けている。全米のホテル業界においても最も注目されている新しいタイプのホテルで、全室スイートルームというつくりである。

都市部におけるビジネス客や家族連れの行楽客をターゲットにしており、豪華さより自宅にいるような快適さを志向する傾向に対応して伸びていると言われている。このホテルのポリシーは、「お客様に対して質の高いフレンドリーなサービス、清潔で快適な環境を提供すること」と定義されている。

ロビーなどの公の場にも、”100% Satisfaction Guarantee”(100%満足保証)
“If You’re not completely satisfied, we don’t expect you to pay.”
(もし当ホテルに完全にご満足して頂けない場合は、宿泊料は頂きません)と明示されていた。

例えば、チェックアウトの際に、外がうるさくて眠れなかったというクレームを出すと、ではお客様はいくらでしたらご満足頂けますか?と尋ねられ、それがそのまま料金となるという。
クレームを持つ顧客も必ず満足して帰って頂くという姿勢がクレーム客の30%をリピーターに変えてしまう実績にもつながっているのだ。
ホテルの営業拠点ごとに平均5名のスタッフが顧客にインタビューして満足度を調査している。翌日にはその内容が全従業員にNETでフィードバックされる。満足度の指標は、社員の評価に直結される仕組みで、目標が達成されると四半期ごとにボーナスが支給される。

朝食は、自慢の中庭のガーデンでバイキングスタイルで頂いた。

このホテルの平均室料は一泊99$(朝食付き)で平均宿泊数は全セグメントの中で最長の3.6日となっているそうだ。そして何よりも印象的だったのが各セクションにおける全従業員が笑顔を絶やさず、いつも向こうから挨拶の声がけをしてくれたこと。
女性マネージャーによれば、笑顔を忘れずにという行動は、常に自分自身をディスクローズさせる行動とのことだった。そして仕事場は、会社やお客様に自分を表現するステージであるとの事。

全従業員は、胸に”Catch me at my best!”(私の最高の姿勢を捉えて)という名札をつけており、笑顔の中にも緊張感を保持する為だそうだ。
他のメンバーが「従業員から不満は出ないかと」など、ネガティブな質問をしてもその女性支配人は、「不満を言いながら勤務するのは、自分に能力がないからです」とニコヤカに返答しているのが印象的だった。

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以上、二回にわたってお届けしたPさんの米国視察レポートはここまで。特色ある会社は特色ある運営とそれに適った人材がいるということがよく伝わってきた。Pさん、ありがとうございます!