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カラオケの持ち歌を考える

●「Q.最近カラオケ行きましたか?」

・はい  7.1%
・いいえ 92.9%
(東京のFM番組調査、2020/7/2、回答数732)

新型コロナのせいもあり、今年は一度もカラオケボックスに行っていない。
もともと年に2回くらいしか行っていないわけだから、あまり遠ざかっている感じはしないが、頻繁に利用していた人はこの時期どうしているのだろう。

●カラオケといえば、すごい営業マンがいる。
札幌在住の30代の男性で出版社に勤めている。
接待で作家さんとカラオケに出かけることが多く、相手は20代から70代までの男女だそうだ。
相手に合わせながら楽しく盛り上がるために、相手の世代を勉強しておく必要があると考えた。
そこで、戦前の歌や軍歌(70歳以上用)、1960年代の歌(70歳代用)、1970年代の歌(60歳代用)、1980年代の歌(50歳代用)、1990年代の歌(40歳代用)、2000年代の歌(30歳代用)、2010年代の歌(20歳代用)、今の歌、といった具合に手帳で持ち歌を整理しているというのだ。

●そんな話を彼から直接聞いて私は「見上げたプロ根性だね。
私なんかいつも『闘魂こめて』と『タイガーマスク』しか歌わないよ」と冗談を言った。
すると彼が「本当に二曲だけですか」と聞いてきた。

「いや、ほかにも歌えるよ、『六甲おろし』なんていうのもいいね
「武沢さんだめじゃないですか、両方とも応援しちゃ」
「ハッハッハ、たしかにね。でも『闘魂こめて』と『六甲おろし』って共通点があるの知ってる?」

●作曲家が同じ古関裕而(こせきゆうじ)氏なのだ。
今のNHK朝ドラの「エール」の主人公であり、応援歌の神様ともいわれた人だ。
私の地元・ナゴヤドームでは『闘魂こめて』を歌えるのはラッキーセブンの攻撃時のみ、しかも一番だけ。
だが東京ドームに行けば一番二番を腹の底から歌えるし、勝ちゲームになればフルコーラスで合唱できる。
そんな場所は日本広しといえども東京ドームしかない。

●ただ、『六甲おろし』は敵ながら天晴れな応援歌だと思う。
曲も歌詞も完ぺきだ。
『闘魂こめて』は1963年につくられた曲だが、『六甲おろし』のほうは戦前の1936年の曲。

戦時中は軍歌もつくった古関氏。特に人気の『露営の歌』(1937年)
・・・勝ってくるぞと勇ましく・・・

『暁に祈る』(1940年)
・・・ああ あの顔で あの声で

『若鷲の歌』(1943年)
・・・若い血潮の 予科練の  七つボタンは 桜に錨

などはすべて古関氏によるものだ。

●高校野球ファンならみんな知ってる『栄冠は君に輝く』(1948年)
・・・雲は湧(わ)き 光あふれて 天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ
も古関氏なら、
『スポーツ・ショー行進曲』(1949年)NHKスポーツ放送テーマ曲
『オリンピック・マーチ』(1964年)も古関氏。

まさしく「エール」にふさわしい人だと思う。

●よし私も決めた。
カラオケの持ち歌は古関氏の曲だけで統一しよう。
かなり偏ったレパートリーになりそうだから、いつか一人カラオケでリハーサルしてみよう。