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イタッコ2号の活躍

30年の歳月をかけてダンテ博士が開発したのは鉄人28号ならぬイタッコ2号。
鉄人28号を操るリモコンは金田少年が操縦したが、イタッコ2号を操縦するのはノビィたけ。
イタッコ2号は人口知能を搭載したロボットなのだが、どこが凄いかというと、霊界と人間界の橋渡しをする東北のいたこさんの役割を機械的にこなしてしまうところ。

桐野朝遊(書道家)
書道家 桐野朝遊(きりの ちょうゆう)は最近六十六歳になった。
フランスの親日派大統領が朝遊の書を好んだことからフランス大使館をはじめ、パリの一流ホテルや三つ星レストランにまで朝遊の書が飾られた。
また、即興で描く墨絵は宮本武蔵ばりの枯木絵で容貌も古武士然としていることから「ラストサムライ書家」といわれたりもした
朝遊がもっとも華々しく活躍したのは10年以上前のことだが、全盛期には一流プロ野球選手並の収入か、それ以上と噂された。

酒好き・女好きで、銀座の高級クラブに頻繁に出入りするようになり、やがてクラブのママやホステスとの艶聞が絶えなくなった。
朝遊は酔うとホステスの前で妙な自慢をした。
「オレはな、ホステス二百人の恥毛を集めて一本の筆をつくった。それで書いた書を某国の首相にプレゼントしたらずいぶんありがたがって大使館に飾ってあるよ、ワッハッハ!」
「すてきね、次の筆づくりは私たちも協力したいわ」などとホステスたちもヨイショした。

そんな朝遊の人気も長くは続かなかった。
すぐに飽きられ、彼の人気と収入はあっという間に下がっていった。
「チモウの先生も終わりね」とホステス達はうわさしあった。

朝遊がある日、なじみのそば屋に行くといつになく混んでいて相席を求められた。
先客として蕎麦をすすっていたのがノビィたけだった。
ノビィは朝遊の顔をみて、すこし驚き、「あのー、桐野先生ではありませんか?」と言う。
朝遊の書のファンらしく、個展に何度も通っているらしい。

あこがれの書道家を前にしてノビィたけはあがっていた。
自分の蕎麦が伸びていくのも気にせず、朝遊に話しかけた。
うっとおしそうな顔をする朝遊の気を引こうと、まだ正式発表前のイタッコ2号について話してしまった。

朝遊がそれに食いついた。
「なんだと、過去の人たちと意思の疎通ができるだと?」
「はい、意思疎通どころではありません。ご先祖と会話ができるのです」
「そんなことってあるわけないだろ」
「それがあるんです。それだけではありません。血縁関係のない故人とも会話できます」
「じゃあ、クレオパトラもマリリンモンローもOKなのか」
「ええ、聖徳太子でも信長でも」
「そんなバカな」
蕎麦屋をあとにした二人は「イタッコ研究所」に向かった。

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★近未来SFムービー【イタッコ2号の活躍】Vol.1
(原作・作画:がんばれ!社長)
https://youtu.be/4ZO2Lf_S1Mo