その他

里田君のYouTube顛末記

※内容はフィクションですが、話しの筋は本当の話です。

メンタルコーチを本職にする里田勇二君は霊的なことや癒やしに関することを調べるのが大好きで、数年前からブログも書いていた。
かなりファンが多いブログで、アフィリエイト収入だけでも毎月20万円ほどになっていた。

そんな里田君が今年からYouTubeチャンネルを立ち上げることにした。
どうせやるなら、ニーズがあって競合が少ないところで勝負したいと考えた里田君は彼なりにリサーチしてみた。

まずGoogle検索で「メンタル」「コーチ」「コーチング」「スピリチュアル」などのキーワードを入れて、何件のサイトがヒットするかを調べた。
それによっておおよその市場規模が分かるのではないかと判断したのだ。
その結果はこうだった。

・メンタル        89,700,000 件
・コーチ       134,000,000 件
・コーチング       19,400,000 件
・メンタルクリニック   12,600,000 件
・スピリチュアル     37,900,000 件

「なるほど、『コーチ』というキーワードと『メンタル』というキーワードはヒット件数が多い。つまりそれだけ見られている証拠だ。だったら、YouTube上で自分が勝負すべきは『メンタルコーチ』というキーワードではないだろうか。それなら勝てる。」

すぐにYouTubeで『メンタルコーチ』を調べてみた。
10人程度のライバルがすでにチャンネルを立ち上げていたが、いずれもまだ成功しているとはいえないようだ。
長年のブログ運営で培ってきた経験とコンテンツを集中投下すれば絶対に一番になれる。
そう思うと里田君は天下を取ったような気分になった。

タイミングよく「がんばれ!社長」のYouTubeセミナーがあるのを知った里田君はすぐに申し込んだ。
YouTubeを運営しているのはGoogleだということは知っていたが、検索エンジンとしてもGoogleに次いで多いのがYouTubeだと武沢さんから聞いて、今さらながらYouTubeの勢いを感じた里田君。
セミナーの内容も知らないことばかりで、来てよかったと思った里田君は、懇親会にも参加した。

新型コロナのせいか懇親会には10人足らずの参加しかなかった
今がチャンス!と思い、武沢さんの横に座った里田君は自分の構想を話し始めた。

ほかのメンバーがトイレに行くなどして全員が揃う前だったので
武沢さんはノートパソコンを開き、『メンタルコーチ』の可能性を調べてくれていた。
10秒ほど経って武沢さんは私を向いてこう言った。
「里田君、悪いことはいわない。『メンタルコーチ』のチャンネルはやめたほうがよい。好きでやりたいのなら止めないが、ビジネス利用を考えるのなら、そこは不毛地帯だ」

「不毛地帯・・・?」
絶句する里田君。
YouTubeの分析ツールをつかって出た数字がとんでもなく低いという。
里田君は食いさがった。
「武沢さん、Googleで「メンタル」「コーチ」を検索したらそれぞれたくさんのサイトがヒットした。それでもダメなんですか?」

「里田君ね、サイトの数とYouTubeで視聴されている動画の数はまったく別だよ。マーケットが違うのだから、YouTubeを解析しなきゃ」
「じゃ、『スピリチュアルコーチ』はいかがですか?」
「(10秒後)ああ、それもダメだね、もっとひどい」
「では、シンプルに『コーチング』ではいかがです?」
「(10秒後)あ~、『コーチング』もYouTubeでは人気がないね。ほとんど視聴されていない」
「あの~、そのツールはなんていうものですか?」
「ビドアイキュー」
「え、びどあい?」
「セミナー中にも紹介したよね。ビドアイキューだよ」