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豊かで格好いい高齢者社会をつくるために

「年金だけでは2,000万足りない」とか「老後破産」など、高齢者に
とって物騒な言葉が飛びかう昨今の日本。
高齢者のグループが居酒屋やカフェのレジにあつまり、円単位でワ
カンにしている光景をみると、ほほえましいというよりは、痛々し
気持ちになる。円刻みで割らなくてもいいのに…。
一人ぐらいワリカン負けを申し出ればよいのにと思う。
がんばってきた人たちの老後がこれでよいのか。日本には、もっと
雅でスマートな高齢者がたくさんいるべきではないのか。

今年、米国の年末商戦は前年比で4~5%の増収が期待できるとメデ
ィアが報じた。この冬のクリスマスセールも好調のようだ。
足もとの雇用や企業業績がしっかりしていることや、米中貿易摩擦
対立緩和ムードから株高になっているのも要因のひとつだろう。
だが私は、豊かな高齢者がたくさん誕生している経済システムが米
の強さの背景にあると思う。

「公務員人事改革」のデータによれば各国の公務員待遇には次の
うな格差がある。

  定  年            年金額    最終所得比

米国    なし           1,209万    71.5%
英国    なし           1,142万    62.1%
ドイツ  65歳から67歳へ      1,150万    67.5%
フランス 65歳から67歳へ      528万    59.1%
日本  60歳(65歳への引上検討中) 529万    30.0%

米国では1967年に「年齢差別禁止法」を制定した。採用、賃金、解
雇、労働条件において年齢差別をしてはならないという法律だ。
EUでも同様に年齢差別廃止の方向に向かっている。カナダ、オースト
ラリア、ニュージーランドなどでもすでに定年はない。

定年がない国でも公務員の多くは60歳前後で引退するという。なぜ
なら、年金や恩給が充分高いので働く必要がないからである。
たしかに毎月100万円も支給されるのであれば人生をエンジョイできる
し株式投資で資産を増やそうという気にもなる。国民を豊かにすれ
国は豊かになる。社員を豊かにすれば、会社も豊かになるだろう。

国民が貧しくて国は豊か、社員が貧しくて会社は豊か、というこ
はあり得ないのである。
1960年、「10年で国民の所得を2倍にする」と所得倍増政策を打ち出し
た池田勇人首相は10年で2.3倍を達成し、見事公約を果たした
今一度、「所得倍増」「年金倍増」「定年なし」社会の実現を公約
掲げる政治家は出ないものだろうか。

いや、ないものねだりはよそう。
所得倍増を掲げ、それを実現する社長が増えれば、日本全体でもそ
なる。脚下照顧でいこう。