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ボーッと生きようじゃないか

「武沢君は一見すると茫洋としていますが、内面は実にしっかり
ています」
小学一年のとき初めてもらった通知表。担任の川口先生(女性)が
へのメッセージとして書かれた言葉をいまも覚えている。
母に「茫洋」の読みと意味を尋ねた。すると、「ぼうようっていう
はね、ボーッとしてるってことだわ」母は笑いながらそう言った。
今なら「ボーっと生きてんじゃねえよ」と怒られるかもしれない。
のとき私は、子どもながらに「自分にはそういうところがあるのか
と思った。

何も考えずボーッとしていることは良くないから、直すようにし
うと思った。ボーッとしている自分に気づくと、ふと我に返って生
的なことを始める。
それでもボーッとしてしまったあとは、罪悪感を感じることもしば
ばだ。

ところが時代は変わり、常識も変わる。現在、欧米でトレンドに
っているストレス軽減法がオランダ発の「niksen(ニクセン)」という
もの。「ニクセン」とはオランダ語で「何もしない」という意味である。
ボーッとして何もしないことがストレスの軽減や解消に効果的であ
ことが分かってきたのだ。「ニクセン」の効果はストレス解消だけ
はない。ひらめきを生んだり、創造性を高める効果まであるという
ら、これからは積極的にボーッとしようと思っている。

「ニクセン」のメリットは冥想や座禅の効果に近いが、特に目を
じたり足を組んだりしなくてもよい。何もせず、何も考えずに生活
る。あえて「無為」に過ごすのである。
他人がみるとなんて自堕落な、と思われるかもしれないが周囲の目
意識する必要はない。積極的に「無為」で「自堕落」になることに
って「ニクセン」の神髄に到達できる。

「ボーッと生きてんじゃねえよ」ではなく、「ボーッと生きようぜ」
とチコちゃんに言い直してもらいたい。
ただ誤解があるといけないから申し添える。
年がら年中ボーッとしていようという提案ではない。計画的にそう
た時間を過ごすことで仕事にもプライベートにも効果が期待できる
うになるわけだ。

★ニクセンに関する記事
→ https://mirai.doda.jp/series/interview/naoko-yamamoto/