その他

続・紙幣を燃やすパフォーマンス

人生にはアクシデントやハプニングはつきものだが、先日「質問
営業」の青木毅さんのイベントでもそれが起きた。ポッドキャスト
公開収録中に青木さんが起業当時の苦労を思い出して泣きだし、司
者に質問を振られてもなにも言えない時間が続いた。

私は青木さんが苦労人であり、人情派であることを昔から知って
る。だが人前で涙を流す光景にはおどろいた。その涙が収録的には
高のかくし味になって、60人いた聴衆は偶然にも”神回”の収録に立ち
あったことになる。

収録早々にもハプニングがあった。
だれかの携帯音が鳴りひびいたのだ。マナーモードにすることを事
確認しなかったせいもある。幸い客席のかなり後方で鳴っていたこ
と、司会者が機転を利かせて話しはじめたので、おそらく収録に問
はないはずだ。関係者はヒヤッとしたことだろう。

私も自分のセミナーではマナーモードかフライトモードにするよ
お願いしているが、それでも時々鳴る。
講師である私のスマホが鳴りだしたこともある。それどころか100人規
模の講演会の真っ最中に壇上にいる私の携帯が鳴ったときは冷や汗
出た。
内ポケットからあわててスマホを取り出し、すぐに電源をオフにした。
聴衆には「うっかりしていました」と詫びたが、一部から冷ややか
視線を感じた。
「この人は何も言わずに電源を切っちゃう人なんだ。掛けてきた相
が気の毒」という印象を与えた可能性もある。

人前で話すことに関しては百戦錬磨の高田明氏(ジャパネットた
た創業者)は、通販番組の生放送中に携帯が鳴った経験をお持ちだ
うだ。スタジオにいるスタッフ全員が凍りついた。
「誰の携帯だ?」
互いが顔を見合わせる。だが「犯人」はカメラの前の高田氏本人だ
た。

そのとき氏は悠然とスマホを取り出し、電話に出たという。
「ごめんね、今生放送の本番中なの。あとでかけ直すから」
そう相手に謝ったあと、視聴者にも「すいません。生放送中なのに
と詫びた。下手をすれば放送事故。だがこの悠然とした応対にかえ
て評価が高まり、同時に氏の優しい人柄を伝えることにも成功した
こういうのを「神対応」というのだろう。

私の時はすぐに携帯を切ってしまったので、神対応のチャンスを
したことになる。いや、切ったあとに詫びるだけでは普通すぎた。
こう言えばよかったかもしれない。
「申しわけありません。いまの電話は1000万円のコンサル依頼でした
が、私は今日の講演の方が大切なので切っちゃいました」

とっさの場面こそ神対応のチャンス。テンパっているようでは未熟だ。