何か印象まで変わってしまったような気がする。
毎週のゴルフ、毎月の海外旅行、夜は繁華街で浮き名を流し、平日
昼間は会員制倶楽部で知り合った女性と密会する。
そうした交遊費は毎月100万円を優に超える。それでも本業の人
が絶好調で、社長である彼がいなくても業績は伸びる。
特に数年前、腕のいい幹部をスカウトしてからは罪悪感すら感じな
なるほど遊ぶようになった、とF社長(50歳)。
「どうしちゃったの」と私。
10年前、F社長が初めて経営講座に参加されたときは、誠実一本
一筋という印象だったのに、この10年で彼に何があったのか。
そしてなぜ再び私のセミナーを受講しようと思われたのか。セミナ
後の懇親会はワインのうまいイタリアンに皆で行ったが、Fさんは
隠さず話してくれた。
とてもドラマチックなエピソードだったが、平たく言ってしまえ
お金と時間に余裕ができて遊びグセがついてしまったというありが
な話。それにしてもあのFさんが繁華街通いに出会い倶楽部の活動
・・・。「もともとそういうキャラでしたっけ?」と聞いてみた。
父親は教師、母親は医院を開業し、家庭環境はむかしから抑圧的
ったとFさん。学生のころはもちろん、社会人になっても意識的に
異性を遠ざけて暮らしてきた。そもそも遊興にふけることは堕落の
まりで地獄に落ちると教えこまれたFさんにとっては、遊びは不純
潔なものと信じてきた。だが、高身長でイケメンの男性が金と時間
持てあますと、落ちるワナはだいたい決まっている。
「それで相談なんですが・・・」とFさんが居ずまいを正した。
それにつられて私もワインをテーブルに置き、背筋を伸ばした。今
生活から早く昔のような勤勉な自分に戻りたいが、ふと気づくとま
遊んでしまっている自分がいる。武沢先生なら、そんなときまず何
しますか?または、何の遊びを遠ざけますか?というのがFさんの
だった。
あなたならどんな助言を送るだろうか?
私は酒や異性におぼれたことはないが、似た境遇に陥ったことは何
かある。なので、こういう相談には強いはずだ。
<あすにつづく>