「照れがあるのか、多くの作家は自分の本をPRしたがらない。
さんはバンバンPRされる。新しいタイプの作家かもしれません」
2001年暮れのこと。わざわざ花束をもって私の出版記念講演に
けてくださった石野社長(明日香出版社)のひと言である。
私は気恥ずかしい思いでそれを聞いていたが、同時にひとつの疑
も浮かんだ。
「世間の作家は自分の作品をアピールしないのだろうか」という疑
である。
作者にはいろんなタイプがいる。過去の作品も含めてPRをきっ
する人と、ほとんど(まったく)しない人だ。私は後者に属する。
録音した自分の声を聞いたり、自分の動画を見るのが恥ずかしいよ
に、自分の作品を吹聴することには勇気と度胸がいる。
石野社長にお越しいただいた当時の私は初の出版で浮かれており
連日メルマガでアピールしまくっていた。だが案の定、ひと月しな
うちに告知熱を失っていった。自分でもどうしちゃったのと思うく
い、自分の作品に対する興味を失っていった。
興味があるのは今作っているもの。そのクセは今も続いている。
れではいけないと思いながら自分を鼓舞し、自作品をアピールする
うにしている。私はそれと同じことを経営者もやるべきだと思う。
経営者にとっての「作品」とは経営計画書である。ご自分がつくっ
経営計画書を社員に遠慮せず連日PRすべきである。
まずは、自分が作った作品を自分自身に売り込もう。自分が惚れ
に誰かに作品を惚れさせることはできない。
稲盛和夫氏のこんな言葉がある。
・・・
事業部の三ヶ年計画を「マスタープラン」と呼んでいるが、それは
うありたい」という願望が結晶化したものである。その目標を達成
ていくためには、どんな困難が立ちはだかろうとも「絶対に目標を
成する」という強い意志と使命感が必要になる。どうすれば経営目
が達成できるか四六時中考えていると、その願望はやがて潜在意識
まで透徹する。それがメンバーを巻き込み、達成にいたる原動力に
るのです。
・・・
経営計画の達成に淡泊な社長は、経営計画を達成しない。
簡単に達成をあきらめるような社長は、目標に対する使命感が欠如
ているのだと思う。なぜそうなるか。
それは私欲の目標だと思っているからだ。その目標達成によって喜
のは自分だけだと思っているからだ。だが、本当にそうだろうか。
社員が達成を喜び、お客が喜んでくれ、雇用と納税によって社会が
うような活動に対して、平気で未達成を受け入れることができるの
ろうか。
朝起きたらまず経営計画をみる。昼もみる。夜もみる。折にふれ
経営計画の内容を社員と語りあう。達成することしか考えない。
なぜなら、みんなのためになることだから。
そういう信念を養うためにも経営計画は作らねばならないし、毎日
なければならない。潜在意識に透徹するほど見なければならない。
そこに照れや恥じらいや遠慮があってはならないのだ。