鶴岡(山形県)の会社を訪れたとき、幹部の一人が「明日、みか
工場に行きます」と言うので、てっきり愛知県の三河地方かと思っ
だが、それは山形県内にある三川町(みかわまち)のことだと後で
った次第。
所変われば地名が変わり、常識も変わる。
「三重に行ってくる」といえば、ふつうは三重県のことだと思うは
だ。ところが長崎の人にとって「三重」は長崎市北部にある三重漁
を意味するそうだ。
さらにややこしいことには、長崎県島原市の人にとっての「みえ」
「三会」(みえ、旧三会村)を意味する。今も島原鉄道の「三会駅
は存在するのだそうだ。
長崎と三重、不思議な符合はまだある。ともにアコヤ真珠の養殖
日本屈指の県であるという共通点がある。
しかも長崎と三重にはともに「海星高校」がある。長崎県長崎市に
るのは、学校法人海星学園が1892年に設立したフランス系の私
学校。
一方、三重県四日市市にある海星高校は、学校法人エスコラピオス
園が1945年に設立した私立高等学校で三重県で唯一の男子校で
ともにキリスト系の学校で、聖母マリアを意味する「海星」を校名
しているが、兄弟校ではない。
さらにこの両校、ともに高校野球がめっぽう強い。
ともに甲子園出場経験があるばかりか、甲子園で二度も直接対決し
いるのだ。
甲子園で同名校が対決したのは、あとにもさきにもこの二度だけと
うから長崎と三重、不思議な縁がある。対戦成績は、一勝一敗。三
目の決着が見られるのだろうか。
地名の不思議といえば、品川駅は品川にない、ということをご存
だろうか。東京都港区高輪3丁目が品川駅の住所である。
戦時中に東京市と東京府が廃止され、東京都が設置されたが、東京
時代に品川県という大きな県があり、品川駅はその時つくられた。
当時は間違いなく品川の駅だったわけだ。
その後、東京都になってから現在の行政区分に変更され、品川駅
品川区から外れてしまったわけだ。ちなにみに北品川駅は辛うじて
川区に入っている。
そのかわり目黒駅は品川区にある。目黒区にはないのだ。
なんとなく品川駅は品川区、目黒駅は目黒区にあると思い込んでい
と痛い目にあうかもしれない。
「ぼくです。いま、品川に来ています」ではなく、「ぼくです。い
港区高輪に来ています」と言うべきかもしれない。
地名の不思議、今回はこのあたりで。