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閉店ラッシュに何思う

昨年、名古屋・栄の老舗百貨店「丸栄」が閉店した。前身の呉服
「十一屋」の創業から数えると403年の歴史に幕を下ろしたわけだ。
栄地区で丸く栄えるから「丸栄」に決められた店名は、松坂屋、名
百貨店、名古屋三越と合わせて「4M」と呼ばれた。その一角が消
てなくなってしまったのだ。

先日、渋谷の駅前を歩いていたら「このデパートが半年後に閉館
れるんです」と同行のY氏(80)。
「え、この東急東横店が?」とおどろく私。
「立ち退きらしいです」。
Y氏はこの渋谷周辺で育ったらしい。「生まれたころからずっとここに
店があった。子どものころは母にせがんでこのデパートのカフェの
ックスジュースを飲ませてもらった。最高のご馳走だった。なくな
のは淋しいもんです」とY氏。

東急東横店の場合は85年の歴史に幕を閉じる。だが業績不振による
ものではなく、親会社の東急などがすすめる渋谷再開発にともなう
館だ。発展的閉館なのでまだ救いがある。

今朝、大垣駅前を歩いていたら「閉店セール」の看板を発見した
その場所がまさかまさかのヤナゲン百貨店の正門前。スマホで確認
たら、今月末に閉店するという。
「ヤナゲンが閉店・・・」
しばし立ち尽くした。
大垣市民にとってヤナゲンデパートは街を代表するお店であり大垣
前商店街の顔でもあった。半世紀の歴史に幕を下ろし、今後は不動
など一部の事業を継続していくらしい。

ヤナゲンは91年のピークには150億円あった売上が最近は20億円程度
にまで減少していた。郊外のショッピングモールに人が流れたこと
あり、ヤナゲン自体も郊外店を出すなど策は講じた。だが業績回復
はいたらなかった。
そのショッピングモールも今ではネットやコンビニ、ドラッグスト
などに客を奪われ苦戦している。まさに弱肉強食、栄枯盛衰、諸行
常である。

大垣にとどまらず、広島でも高岡でも静岡でもローカルデパート
苦戦や閉店が相次いでいる。いや地方都市の問題ではない。高島屋
って上海で受け入れられず今月下旬で撤退する。
日本の問題なのかというとそうでもない。ニューヨーク・マンハッ
ンにある「バーニーズ・ニューヨーク」が破産を検討していると報
られた。高騰するニューヨークの家賃に見合うお客が来ない、と幹部。

統計によれば小売り業の全売上高に占めるネットの割合はまだ10%
程度と大したことはない。だが、それ以上に深刻にリアル店舗の客
が遠のいている。しかもこの傾向は今後ますます加速すると見られ
おり、小売り関係者にとどまらず、産業構造の変革を注視する必要
ありそうだ。