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経営者のための経営常識問題の解説

一昨日に出題した経営常識問題について、昨日、正解を発表した
今日はその解説をしていきたい。

【経営常識問題】

1.本業の儲けを表す利益として重要視されている利益は次のうち
れか。
ア.売上総利益 イ.営業利益 ウ.経常利益 エ.純利益
《正解は「イ.営業利益」》

日本の会計基準では次の5種類の利益がある。

・粗利益(売上総利益、限界利益)
・営業利益
・経常利益
・税引前当期利益
・当期利益(税引後当期利益、または、純利益)

どれも大切な指標だが、「本業の儲けを表す利益」として多くの企
が重視しているのは「営業利益」である。
営業利益を売上高で割った営業利益率の値は業界によって平均値が
なるが、全作業平均は5%程度。明日への投資を賄うには少なくともそ
の2倍の10%を超える営業利益率を実現したい。
そのためには、粗利益率を高めるか、経費率を引き下げるしか方法
ない。あとは、いかに実行させ切るかが経営者の手腕である。
ちなみに経常利益とは、営業利益に営業外損益を加算したものである。
営業外損益とは、財務活動による収支といえる。公式は受け取り利
や配当などの営業外収入から、支払い利息などの営業外費用を差し
いた金額である。不動産業以外の会社で家賃収入がある会社も営業
収入が増える。いわゆる「資産家」の会社は、本業の営業利益が赤
でも家賃収入などがあるおかげで経常利益が黒字になっている。
よって経常利益とは、本業の儲け+財務活動の儲けの合算といえる

2.自己資本比率を上げる上で、すぐには効果が得られない対策は
のうちどれ。

ア.IT投資に力を入れる イ.純利益をあげる
ウ.資産を処分し、借入返済に充てる エ.増資する
《正解は「ア.IT投資に力を入れる」》

自己資本比率は、総資産に占める純資産の割合のことをいう。つまり、
負債に依存しない経営がどの程度実現できているかを表すもので、
いほど良い。(100%という会社は理論的にありえず、90%台の会社は
何社か見たことがある)
中小企業の平均値は40%近くあり、この10年で急速に高まってきてい
る。その背景には、経営力が向上してきているというポジティブな
と、リスクを犯して投資しようとしあいネガティブな一面とが垣間
える結果だ。
自己資本比率を上げるには、純資産を増やすか負債を減らすしか方
がない。具体的には「ア」以外のすべての方法が有効である。無論
「ア」も間接的には有効な対策ではあるが、直接的ではないという
味で誤りである。

3.働き方改革とセットで取り組むべきテーマで、諸外国にくらべ
日本企業はこの値が低いことが問題視されている指標はどれ。
ア.生産者年齢 イ.有効求人倍率 ウ.労働生産性
エ.社長の平均年齢
《正解は「ウ.労働生産性」》

従業員一人あたりの付加価値(限界利益)を「労働生産性」という
この金額を増やすことが経営改革の眼目といってもよい。それほど
切な指標である。
大企業の労働生産性は1300万、中小企業は600万円台という厳しい平均
値が出ており、中小企業は給料を上げたくても上げられない、休み
増やしたくても増やせないのは、この労働生産性の低さに起因する
2000時間フルに働いて一人1,000万円の粗利益が期待できない事業はや
っているべきではない、と考えるべきだろう。
今の本業を続けるのであれば、生産性が上がるやり方に変えていく
それができないのなら、本業を変えていく。その二択といえる。

<以下、来週につづく>