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「水商売」の概念が変わる話

NHKの男性レポーターが始発列車を待つ若い女性に声をかけた
「NHKの番組ですが、ちょっとよろしいですか」と断ったあと、こんな
お時間にどこへ行かれるのですかと質問した。聞かれたある女性は
こし言い淀んだが、「いままで仕事をしてました」と答えた。
この時間までお仕事ですか?と驚くレポーターに、「乾杯ワークです」
と女性。カンパイワーク?と聞き返すレポーターに今度はきっぱりと、
「水商売です」と答えた女性。

私はその場で「乾杯ワーク」を検索していた。
するといくつかの求人サイトがヒットした。どうやら最近は「乾杯
ーク」なる言葉で女性スタッフを採用しているようだ。
たしかに水商売、ウォータービジネス、ホールスタッフなどよりは
るくてハッピーな印象がある。

水商売とは、先の見通しが立ちにくく、世間の人気や嗜好に大き
依存し、収入が不確定な業種や職業、およびそうしたものに従事す
人を指す日本の俗語、とウィキペディアにある。

広い意味では、飲食業や花柳界、性風俗業のような業種のほかに
相撲や歌舞伎、演劇などの興行ものや人気商売(芸能人、スポーツ
手など)、作家・クリエイターといった職業も「水商売」と呼ぶこ
がある。

今思い出したが、私が20代のときスポーツ用品の会社で採用を担当
していた時期がある。当時、内定者の親が反対しているというので
実家まで親御さんに会いに行った。そのとき言われたセリフは今も
れない。
「うちの息子はお宅らのような水商売に入るために大学で学んでき
んじゃない」
その親は公務員をされていたが小売業は水商売に思えたのだろう。

30代でフルコミッション営業の仕事を始めたときにも言われた
お世話になったコンサルタントのS先生が、「武沢さん、あなたは歩合
営業マンみたいな水商売に手を染める人ではない」と。
先生にしてみれば、コミッション営業の仕事は水商売だったのだろう。

「水」とは収入が不確定な状態を指して使う。お水を扱っている
らではない。飲食店、風俗店など、景気の良し悪しや天候、客の気
ぐれなどによって収益が大きく左右される。店を開けてみないと客
入りがわからないことから「水ものの商売」→「水商売」となって
ったわけだ。

ということは、もし客の入りや売上げが正確に予測できるように
れば同じビジネスでも「水商売」から「堅気(かたぎ)商売」に早
わりする。そうなれば「乾杯ワーク」などともってまわった言い方
しなくても、堂々と「クラブのホステスです」と言える日がくるだ
う。

そこで三重県で飲食店を経営するある会社の正確な未来予測の実
をあす、ご紹介したいと思う。有名な例なのでご存知の方もいるか
しれないが、お楽しみに。

<あすにつづく>