興味深い資料がここにある。
経済産業省が平成29年10月に発表したもので、『中小企業・小
業者の生産性向上について』と題されたPDFである。
→ http://urx.blue/BWzL
このレポートによれば、直近の20年間で中小企業は労働生産性
々低下させてきたことがわかる。それに対し、大企業の生産性は改
傾向にある。つまり大企業と中小企業の生産性格差は年々拡大して
るわけだ。
具体的にいえば、中小企業の労働生産性は平均で約600万円、
は約1,300万円となっている。しかし、苦戦する中小企業でも
の1割、非製造業の3割が大企業の生産性を上回っている。
そして、ここからが注目のポイントなのだが、生産性が大企業以上
高い中小企業には三つの共通点があることがわかった。
その三つをいまからみていこう。
ひとつめ。それは「IT投資」である。生産性の高い企業ほどIT
行っていることがデータでわかる。
20年前には「一人一台パソコン投資」が叫ばれ、10年前には
一台スマホ投資」が叫ばれた。その間、サーバーやソフトウエア、
プリ開発、クラウド投資、そして今は「RPA投資」(Robot
Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI投
資が叫ばれる。
目安としては売上の1%以上(または粗利益の3%以上)のIT投
続してきた中小企業は生産性が高い。
年商1億であれば100万円/年、年商10億であれば1,00
資を続けるためには成果が求められる。成果があるから投資を続け
れる。
「せっかくお金をかけてもうちの社員は使いこなせないので元の手
業にもどってしまう」と頭をかく社長も多い。せっかくのIT投資
駄になり、次回から投資するのをやめてしまうことになる。
ITを使いこなせる社員がいる・いないの問題ではない。トップ自
活用の旗振り役になってこそ、社員がついてくるのだ。
ふたつめのポイント。それは「海外展開」である。
ここでいう海外展開とは、
1.海外に販売拠点がある
(法人でも支店でも可。独資でも合弁でも可)
2.海外に生産拠点がある
(法人でも支店でも可。独資でも合弁でも可)
3.インバウンド対応(外国人旅行者の受け入れ)
の三つをいう。
3~4年前から注目されている「越境EC」(国境を越えたeコ
も立派な「海外展開」に入るがこのPDFではそれに言及していな
いずれにしろ、内需だけに限定している企業と、積極的に海外取り
きを行っている企業との業績格差、生産性格差は開いていく傾向に
る。
帝国データバンク「海外進出に関する企業の意識調査」(201
月公表)によれば、「海外進出をしない」と名言している中小企業
全体の約半数にのぼっている。
正確にいえば、「生産拠点として海外進出を検討していない」が5
%、「販売拠点として海外進出を検討していない」が48.4%に
た。その理由は不明だが、海外進出する「必要がない」、「したく
い」、「できない」の三つだろう。
果たしてそのような意識で良いのか、ということだ。
同調査によれば、企業規模別の海外展開企業の割合は次のように
った。
・小規模事業者15.0%が海外展開済み
・中規模企業28.5% 〃
・大企業48.6% 〃
この数字は4年前のものであり、現在はもっと大きなものとなって
し、今後さらに伸びていくことになるだろう。
ちなみに「外国人技能実習の受け入れ」は海外展開とは言わない
実習生受け入れはあくまで国際協力と日本人人材の採用を補完する
のであり、業績拡大をめざした海外展開には入らない。
さて、最後のみっつめ。
<明日につづく>