20代のとき、小売業チェーン店で働いていた。
人事部で教育を担当していたころには、教育体系を完成させるために
一年中セミナーを受けまくっていた。
当時の本職である「エデュケーター(教育専門職)養成セミナー」を
はじめ、「賃金制度セミナー」「店舗開発セミナー」「小集団活動セ
ミナー」「管理職養成セミナー」「店長セミナー」「バイヤーセミナ
ー」などなど年間200本以上のセミナーを受け、受講と移動とレポート
作成に追われる日々だった。
いずれも数万円から10数万円するようなセミナーで、今なら2~3倍
はするであろうセミナーだった。
そんな中で、特に強烈な印象を受けたセミナーが二本あった。
ひとつは「チェーン店のための業績管理セミナー」である。
このセミナーではたまたま隣り合わせた大手自動車用品店チェーン
の人事マンと親しくなった。休憩室でコーヒーを飲みながら私は彼に
質問した。
「おたくの場合、店舗の目標達成率は平均でどれくらいなの?」
「そうねえ」と言いながら彼は内ポケットから手帳を取り出した。そ
して開いて見せてくれたページをみておどろいた。
100店舗以上の店別目標達成率が手書きでびっちり書きこまれていたの
だ。印刷したかのようだったが彼の几帳面は文字だ。そして、ほぼ全
店が95%から105%の範囲内に目標達成率が納まっていたのである。
恥ずかしながら我社の達成率は平均で80%。高い店は120%を超える
が、低い店だと60%を割っていた。
「季節ものを売ってるからね」と彼はかばってくれた。スキー用品の
売上げが全体の60%を占め、しかも12月から2月の3ヶ月間でその大半
が売りさばかれる。雪がたくさん降るような厳冬だと売上も利益もし
っかり取れるが、暖冬だと年を超さないと売れないため、売上も利益
率も大幅に下がる。
仕事は目標を達成したり、未達成だったりのくり返しだが、毎回な
にかの教訓を得て次に活かす人(会社も)はかならず成長していく。
活かそうとしなかったり、活かし方を知らない人(会社)は延々と同
じ行動をくり返す。
我社は未達成を天候だけのせいにしてきた可能性がある。
相手は上場会社なので、株主の信頼を獲得するためにも予算管理の精
度を高める必要があるし、そのノウハウがある。天候や景気に左右さ
れにくい業績管理のやり方がきっとあるに違いない。
こちらは郊外スポーツ用品店の新興ベンチャーでイケイケで伸びて
いる会社。季節ものの要素が高いとはいえ、コントロールされている
とはいいにく。肝心のセミナー内容は失念してしまったが、手帳の映
像はまだまぶたにつよく残っている。
もう一本の強烈なセミナーは「エデュケーター養成セミナー」だ。
それについては、過去にも二度(2003年と2016年)ほど書いているの
で記憶に残っている方もいるとは思うが、あらためて次回述べてみた
い。
<明日は「ウィークリー雑感」の日なので、続きは来週>