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30万円の罰金

今年は新天皇が即位され、元号も変わることからGWは10連休、10月
22日も今年だけの祝日になる。
日本の休日数は138日と諸外国にくらべても決して少なくはなく平均的
である。問題は有給の取得率の低さで日本のそれは50%程度と世界で
もっとも有休取得の低い国である。フランス、スペイン、香港などは
100%使うし、アメリカでも80%使われている。日本の50%は突出して
低い。その結果、実際の休日数は外国とくらべてかなり少ない。

日本人の多くが「休むと職場の仲間に迷惑をかける」と考えている
ようで、「エクスペディア・ジャパン」の調査によれば「有休の取得
に罪悪感がある」と答えた日本人は約6割と、世界19カ国中最多だった。
「上司が有休を取得することに協力的」と回答した日本人は4割強にと
どまり、有休取得率1位のブラジルに比べて半分程度だった。

業を煮やした日本政府は法律を改正した。年に10日以上の有給休暇
の権利を与えた社員に対し、最低5日間は取得させないと労働基準法違
反となり、30万円以下の罰金を課すことにしたのだ。スタートは今年
の4月。パート・アルバイトも10日以上の有給休暇がある場合は5日間
の有給取得が義務となる。

「30万円以下の罰金なら俺、払うよ」と冗談をいう社長もいたが、
犯罪者になりたくない経営者は今後、社員に有給を取らせようと努力
するだろう。「○月○日に有給休暇を取得しなさい」と社員に命じる
幹部や経営者も増えよう。

大企業の対応は素早い。オリックスでは一昨年の春、思いきった手
を打って話題になった。「5連休取れば5万円差し上げます」という制
度を創設したのだ。「リフレッシュ休暇取得奨励金制度」といい、全
社員が対象で、1人が年1回使える。初年度の昨年は約3500人が利用し
長期休暇を取る社内文化ができはじめているという。
★オリックスの制度
 → https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39649470U9A100C1X11000/

メールにもメスを入れる企業がでている。
自宅や外出先でのメールチェックや返答は残業にならない。休みをも
らってもメールがばんばん自宅に追いかけてきては休んだ気にならな
い。そこで大阪ガスでは夜間や休日のメール送信を原則的に禁止した。
緊急の場合を除き、午後10時から午前7時の間はメールを送ってはなら
ないというルールをつくったのだ。

慢性的に勤務時間が長い会社やサービス残業が当たり前になってい
る会社は定着率があがらない。社員の入れ替わりが激しい会社にお客
が定着するわけがなく、定着率悪化は業績に響いてくる。
大阪ガスのように社内で開催される会議や研修も午後6時以降は原則と
して禁止するなどの措置が必要になるだろう。

休みを増やせ、休みを取らせろ、残業はさせるな、給料をあげろ、
と無理難題ばかりを押しつける日本政府。
たしかにおせっかいではあるが、付加価値が高い会社、生産性の高い
会社だけが生き残り、そうでない会社はいずれ淘汰される。それが自
然界の摂理なので、政府のおかげで淘汰されないで済むのならこれほ
どありがたいことはない。
働き方改革に本腰を入れよう。