『明日を支配するもの』というドラッカーの名著があるが、私は、
自分自身を支配できるものが明日を支配できると考えている。
自分の時間を支配したいがうまくいかず、ずっと困っていた私。
あるとき友人が「GTDが良い」と教えてくれた。10年ほど前のことだっ
たと思う。
仕事をなし遂げる技術がGTDで、そのためのソフト(アプリ)として
『Nozbe』(ノズビー)を使いはじめた。
その後、パソコンをMacに変えてからは『OmniFocus』(オムニフォー
カス)を使うようになった。Mac版、iPhone版、iPad版、それぞれで購
入したので、合計1万円以上支払ったが、今では手放せない存在になっ
ている。
私の場合は正統派GTDというよりは、かなり我流だと思う。
OmniFocusのなかに【必ず今日中】というフォルダーがあり、こんな感
じで時間割を決めて一日を始める。
□ 8:00~8:15 一日を計画する
□ 8:15~8:45 午前メール処理
□ 8:45~10:30 今日のメルマガ執筆
□ 10:30~11:30 スタッフ会議&読書会
□ 11:30~12:30 号外広告(A社分)
□ 12:30~13:30 ランチョンミーティング(B社長)
□ 13:30~15:00 来週の講座資料作成
□ 15:00~15:30 C市へ移動(移動中、Dの本を読む)
□ 16:00~17:30 E社会議
□ 18:00~18:30 名古屋に戻る
□ 18:30~19:00 午後メール処理
□ 19:00~20:00 来月号社長最前線!原稿を2ページ作る
□ 20:00~20:30 今日の日記、明日以降のスケジュール確認
□ 20:30~21:00 徒歩で帰宅
【必ず今日中】フォルダー以外に、【できたら今日中】【そのうち】
【やるかもしれない】【備忘録】【Wish-List】などがあり、それぞれ
に何十個から何百個のタスクが入力されている。
時間割を決めてから仕事を始める習慣は何年も続いている。
そうすることで没頭力が生まれるからだ。8:45からメルマガを書き始
めたら、予定した10:30までにメルマガを書き上げることに全力をあげ
る。極端なことをいえば、トイレにも行かないし電話にも出ない。
もちろんメールチェックもしない。
10年前まではこうした時間の割り振りをしないでメルマガを書いて
いたので、今の2倍の時間(約3時間)がかかっていた。つくづく時間
にも予算や目標が大切だと実感している次第。
「朝決めた通りになる確率は何パーセントぐらいか?」と聞かれた
ことがある。
未熟だったころは、毎日消化不良で翌日にタスクを持ち越していた。
今も未熟なのは変わらないが、それでもかなり成熟した。タスクが消
化不良になる原因を学んでいったのだ。
消化不良の原因のひとつが昨日号で書いた「稼働率100%」を前提に
予定を組むから。想定外のことに時間が取られることを考慮していな
い。
ひとつの予防策として「□ 14:00~14:40 アディショナルタイム」
などと、時間のバッファを見込んでいる。
衝動的に計画外のことをやってしまうクセもなくなった。以前は、
手帳を買うために丸善へ出かけたら夢中になって手帳や本や文具を選
び、気づいたら1時間以上経っていたということがよくあった。
『OmniFocus』導入以降は皆無である。買い物しなくなったわけではな
く、計画外のことをしなくなったのである。
「顧問先に非常事態が発生した」「スマホが壊れた」「ネットがつ
ながらない」「スタッフが病気になった」など、想定外のことも起き
る。想定外のことを想定しておくわけにはいかないので、被害を最小
限にする対処法を学ぶしかない。
たとえば、顧問先にトラブルが発生し、急きょ出向く必要が出たと
する。
OmniFocusでタスクリストを確認し、明日に回しても支障がないか確認
する。「問題ない」となれば、その日は顧問先のトラブル解決に全力
をあげることができる。
もし顧問先のトラブルが軽微なもので済めば、オフィスに戻ってから
再度時間割を作って軌道に戻す。
いつ、どこで、何をやるにせよ、自分のコントロール下におくこと
が大切であり、それが明日を支配する大切な条件だと思っている。