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8勝7敗の慎独

「性格は変えられますか?」と某社の新入社員から質問を受けた
性格だけでなく、変えたいもので変えられないものはひとつもない
性格の根っこにある「気質」は変わらないが、その上にある環境性格や役割性格などの新しい性格が覆いかぶさる。自分の立場を自覚し、振る舞い自分でコントロールするうちに新しい性格が生まれてくる
それが根っこにある「気質」とは似ても似つかぬものだったりする

私がそんな話をすると、「自分の気質がどんなにダメなものだったとしても大丈夫ですか?」と追加質問をする彼。
よほど自分を変えたいのだろう。

「大丈夫だよ」と私。
ただし、条件がある。
その鍵をにぎるのは「独りの時間」。
自分独りになったとき、だらけてサボってしまうか、それとも自分がやるべきことをきちんとやるか、その二者択一のなかで人生の勝負がついていく。

自信がなさそうな彼。
励ます意味で私はこう申し上げた。
「相撲にたとえるなら全勝優勝をめざさなくてもいい。8勝7敗の勝ち越しができればどんどん出世する。中国の故事に『慎独』という言葉があるが、独りのときに身を慎み、やるべきことをやり、やらないと決めたことをやらないことができたら1勝。サボったり手を抜いてしまったら1敗。8勝7敗とは二回に一回の割合で自分に勝てば良いということだよ」

まだ自信がなさそうなので、こう励ました。
「大抵のひとは勝ち越しすらままならない。この私だって46歳でメルマガを始めるまでは、何をやっても長続きしない1勝14敗か2勝13敗くらいの人間だった。だが18年メルマガを続けてきたおかげで辛うじて5勝か6勝できる力士になったよ。8勝したら天下が取れるね。15勝なんてしようものならノーベル賞を何個も取っているにちがいない」

不安げな表情に笑顔が浮かんだ。

彼を励ますつもりで言ったのだが、現実でもその程度だと思っている。