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リスクフリー戦略

Rewrite:2014年3月30日(日)

絶版だが、『お金をかけずにお金を稼ぐ方法』(ジェイ・エイブラハム著)に面白い逸話がある。

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ある農場主が、娘のためにポニーを購入することにした。彼の町では、ちょうど二頭のポニーが売りに出されていた。二頭ともあらゆる面で甲乙つけがたい。

ひとりの売り主は、農場主に「500ドルです。気に入らないなら買わなくてけっこう」と言った。

一方、もうひとりの売り主は、ポニーを750ドルで売りに出していたが、農場主に「買う前に一ヶ月間、あなたの娘さんにポニーを貸し出してもいいですよ」と言った。
さらに一ヶ月分の干し草をつけて、ポニーを農場主の家まで持ってきてくれるという。
また、一週間に一度、娘さんにポニーの調教と世話の仕方を教えに専門のスタッフを行かせるとも言った。穏やかなポニーですが、娘さんになつかせるためには毎日乗るように、と丁寧なアドバイスも忘れなかった。
そして一ヶ月後、売り主は農場主の家まで行き、ポニーの代金である750ドルを支払ってもらうか、あるいはポニーが気に入らなければ、馬屋の掃除をしてポニーを連れて帰るという条件を提示したのだ。

さて、農場主が娘のためにどちらのポニーを購入したか、あなたも想像がつくだろう。750ドルのポニーを購入したのは当然である。
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この話には教訓が多い。この農場主は、娘のためにどうして高い方のポニーを買ったかである。50%も高いポニーを買う理由がいったいどこにあるのか、あなたの会社で話しあってみてほしい。
あなたの顧客が抱えるリスクから完全に開放する「リスクフリー戦略」を考えていただきたい。

最近、これに類似したビジネスを見かけることが多くなった。

・契約して二週間以内ならいつでも解約できます(通販会社)
・売れなければ制作費はいただきません(ホームページ制作会社)
・まず無料の試供品をお使いいただき、お肌にあえば製品をお求め下さい(化粧品会社)
・内容がつまらなければ代金はお返しします(セミナー会社)
・代金をいただくのは半年後で結構です(白アリ駆除会社)
・お作りいただいたスーツは、10年間無料で寸法直しをいたします(紳士服会社)

しかし、これらは純粋な「リスクフリー戦略」とは言えない。品質への自信を表明しているに過ぎないのだ。

顧客が費やした経済的負担だけではなく、精神的負担や時間の負担などあらゆる面のリスクから開放することが真の「リスクフリー戦略」だ。別の表現をすれば、「なかったことにする+α」が必要だ。

ある住宅リフォーム会社は、リフォームに満足しなかったら代金をいただかないだけでなく、完全に元に戻しますというアピールをしているという。それによって未回収に終わる仕事が増えたが、それ以上に新規受注が増えたという。

お客の側からみたリスクを売り手がヘッジしてあげることを考えてみよう。