カリスマ試食販売員 Y

人気女性芸人「Y」 は以前、大手コンビニでアルバイトをしていた。
ウインナの試食販売が得意で、不思議なことに彼女がウインナを焼き、お客さんに手渡すと大半の人がそれを試食し、買っていく。

余談だが、試食販売の目的は販売ではなく、お客に味を知ってもらうこと。なので食べた人数（消費した食材量）を重視する。試食販売員にとっては何よりも試食してくれる人が神さまなのだ。

Y が担当すると毎日ウインナが売り切れる。その評判は各店の店長の耳に届いた。結局彼女はカリスママネキンとして60店舗回ったという。
後日、Y は有名になり連日テレビに出るようになった。先輩芸人から
「試食させる秘訣は何？」と聞かれ、彼女は冗談めかしてこう答えている。
「これ、おいしいですよ～、と言いながら自分で食べること」

「なんだ自分で食べてるだけじゃないか」と先輩がツッコミを入れたが、なかなか人間心理をついた作戦だと思う。

売れる人はティッシュ配りや街頭での雑誌配布などでも圧倒的な数を配布する。野球場でのビール売りもタクシーの運転士でも、知恵次第で何倍もの差が生まれる。それらは人間をよく観察し、それに自分をアジャストする知恵が備わっていることだ。

ちなみに女性芸人「Y」は柳原可奈子さんである。