その他

やってまった

「だいぶ頭髪が後退してきましたね」と言われ、一瞬ムッとしながらもウィットある返答をする。
「いや、髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである」(孫正義氏)
これぐらい言える大人になりたい。
ちなみに孫社長は、通信各社の値下げ合戦に対して「不毛な値下げ競争激化!」とメディアに批判された。そのときは会見でこう言い返している。
「決して不毛ではない。まだすこし残っている」

主張には主張で返す心意気が大切だ。頭髪が後退するぐらい前に進もう。やり過ぎるくらいでちょうどいい。
やり過ぎといえば、「やってまった」。

NHKの連続テレビ小説『半分、青い。』が始まった。初回の視聴率は21.8%と上々のようだ。
主人公役を演じるのは女優の永野芽郁(ながのめい)さん。ドラマの舞台は岐阜県東美濃市という架空の町。
実際には、土岐、多治見、瑞浪、恵那、中津川の5市を東濃(とうのう)地区というが、自然に恵まれたそのあたりの地域で物語が進む。

ドラマはまだ始まったばかりだが、すでにツイッターなどで岐阜の方言の「やってまった」が話題になりつつあるようだ。気の早い人は今年の流行語大賞候補とまで言う。
「やってしまった」「やっちゃった」という意味。主人公が頻繁にこの言葉を使うことからネットで話題なのだが、私は同じ岐阜でも西濃地区の大垣生まれ。
それでも、「やってまった」は子どものころによく使っていた。おっちょこちょいほどよく使う。

ドラマでは主人公が番組後半であるものを発明するわけだが、ストーリーはフィクションらしい。
永野芽郁演じる楡野鈴愛(にれの すずめ)は身体にハンディキャップがあるものの、それさえも楽しみに変え、人生を明るく前向きに生きていく。
ただ時々、逸(はや)りすぎて「やってまった」となるようだ。

主人公の頭髪は後退しないと思うが、私たちは頭髪をも後退させる勢いで、「やってまった」をおそれず前進しようではありませんか。