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鳥取から岩美、そして安来へ

この一枚の絵を観るためだけに名古屋から安来(島根県)まで4時間半を費やしたと言ってもいい。その作品は、足立美術館で公開されている「瑞祥」という絵画で作者は山元春挙(明治から昭和初期の日本画家)。

中国では昔から東の海に仙人が住む仙境があると信じられ、「蓬莱」(ほうらい)と名づけられたそこに誰もが行きたがった。
特に秦の始皇帝は蓬莱に執心した。
この「瑞祥」という作品は、作者が実際に蓬莱を訪れ、写生してきたかのようにリアルに描かれている。もしこの絵を始皇帝が見たならば歓喜して宮殿玄関か寝所にでも飾ったことだろう

★「瑞祥」(山元春挙)
→ https://www.adachi-museum.or.jp/archives/exhibition/winter2017

作品の前に立ったとき、松田優作じゃないが「なんじゃこりゃ」という声がもれそうになった。思わず一歩近寄り、ガラスに顔をくっつけて凝視した。しばらくして今度は五歩ほどさがって全体の世界観を眺め、また近寄りといった具合に同じ動作を何度もくり返した。

実は庭園日本一の「足立美術館」へは以前から行きたいと思っていたのだが、機会がないまま延び延びになっていた。
「横山大観をはじめ、日本画のコレクションも素晴らしい」と O 社長にプッシュされ、絶対行こうと決心したのが先月。どうせならまず、鳥取にある松葉ガニの店に立ちよってから島根へ入ろうと計画した
鳥取のその店は岩美駅にほど近いので、岩井温泉にも立ち寄ることにした。

松葉ガニの店は以前も一度ランチで訪れた「旬魚たつみ」という。
3月いっぱいまで松葉ガニが食べられる、とホームページにあったので、予約を入れたところ、女将さんが「今年は3/19で終わりですよ」という。
あわてて3/17(土)の予約を入れた次第。タグ付きの松葉ガニが一人一杯出る。つい先ほどまで生きていた松葉ガニはミソも濃厚。
アツアツの焼きガニをミソにつけていただくのが絶品。日本酒の熱燗に最高によくあう。
カニの刺身、しゃぶしゃぶ、茹でガニなど、あらゆる調理法で松葉ガニを一杯丸ごといただいて、お一人さま15,000円は奇跡のプライス。
名古屋ではいただけないし、もしあったとしても2倍以上するはずだ。
店内はひっきりなしに予約電話が入っていた。カニが終わったあとは山陰産・大型ノドグロの料理が大人気なのだそうだ。

★旬魚たつみ(食べログ)
→ https://tabelog.com/tottori/A3101/A310101/31002019/

●今回の山陰旅は思い出に残るものになったが、それでも心残りが四
つほどある。

1.鳥取駅前の「すなばコーヒー」を二回訪れるも、二度とも満席で入れず。人気ぶりに驚いた。
2.山陰名物のひとつ「割子そば」は、時間の都合で大衆食堂へ入ったため、つなぎ粉だらけで「こんなの割子じゃない」と思った。
3.安来まで来ていながらこれまた時間の都合で「安来節演芸館」へ行けなかった。本場のドジョウすくいを見たかった。
4.お得な JR 山陰周遊券というのがあることを帰りに知った。
最後まで知らずにいたかった。

こうした心残りがあるから再訪したくなるわけで、これもまた良し。

★足立美術館
→ https://www.adachi-museum.or.jp/