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5億つくるために

先週、「ビジネスすごろくの『あがり』は10億の資産をもつこと」と説くコンサルタント I 氏の話を聞いてきた。なるほど、10億あれば元本保証で年5%の金融商品を買っても年間5,000万円、毎月400万円の安定収入が入ってくる。個人資産のゴールとして10億というのは分かりやすい目標だな、と思った。

そして昨日、あるプロジェクトの出版に関する打ち合わせがあり、金満家お二人と名古屋で鼎談した。おひとりは75歳の A 氏、もうおひとりは73歳の B 氏である。
ともに個人資産は優に10億を超えておられる現役経営者だ。
ミーティングが始まるまでまだ20分ほどあったので、お茶を飲みながら私がおふたりに質問してみた。
「10億がすごろくの『あがり』だという人がいますが、現実問題としていかがですか?私はその金額に遙か及びませんので、実感をお聞きしてみたいのですが」

おふたりの反応は意外なものだった。ほぼ同時に二人が同じことを口走ったのだ。それは、
「10億も要らない」「半分の5億で充分だ」というものだった。

もちろん事業資金なら幾らあっても足りないわけだが、個人が家を建てて好きなものを食べて各地に旅行に行って、時々ぜいたくな買物をする程度なら5億の資産で充分だという。
5億の資産を年5%で回しても年間2,500万円(月間200万円)の安定収入がある。実際には投資上手のお二人は5%以上のリターンを得ているだろうし、年金収入が加わり、仕事の謝礼も入るので、5億で余りある豊かさを実感できるという。

武沢さんみたいに毎日高級クラブや高級寿司屋に行く人なら10億要るでしょうが、我々のように2,000円の焼き鳥屋で充分な者には、5億あれば充分だよ」と A 氏が私を冷やかした。高級クラブや高級寿司店に行かないことを知っておられるはずなのに。

「あるとき、かみさんが机の上に個人通帳を開きっぱなしにしておいた。気になったので見るとはなしに見てみたら5,000万円あった。
『もっとセッセと使わないと使う時間がなくなるぞ」と私が言うと、『だって欲しいものがだんだんなくなってきちゃって』と言う。
男冥利に尽きると思ったね。かみさんに「もう欲しいものはない」と言わせたいと昔から思っていたからね」と B 氏。

仮にビジネスは「個人資産5億作るゲーム」だとしよう。
割り切ればあとは簡単だ。会社を上場させるか、売却するか、承継するかを選ぶわけだ。どれを選ぶにしても会社の価値を高める必要がある。それには
・会社の純資産を5億にする
・会社の経常利益を安定して1.5億出す

いずれかでよい。そうすれば会社は確実に5億で売れる。
あとは経営計画書の目標をそこに置けば良く、何年でそれを実現するかを計画すればよい。
現実の会社経営においては、雇用維持や顧客との関係などからスパッと会社を売るのは難しいわけだが、シンプルに考えれば「5億作るゲーム」だというのは的確な指摘といえそうだ。