その他

官民一体で成果を出した例

終戦直後の1948年(昭和23年)から交通事故の統計が取られるようになった。
ちなみにその年、トヨタが生産した車の台数は乗用車21台、トラック
・バスが6,682台、合計6,703台である。その当時、町を走っている車の大半は輸入車だったわけだ。

その63年後の2011年、トヨタの生産台数は、乗用車247万台、トラック・バス29万台、合計276万台と1948年の411倍になった。

さてそこで問題。
1948年(昭和23年)と現在(2017年)とでは、年間の交通事故死の数はどちらがどの程度多いか答えよ。

時間がないので、さっそく正解を発表しよう。

正解は、1948年の方が事故死の数が多い。

警視庁のまとめでは、2017年の交通死は統計を取り始めてから過去最少の3,694人だった。統計を取り始めた1948年は3,790人だった。
実は1948年以降、1970年の16,765人まで事故死の数は右肩上がりで増え続け、深刻な社会問題になっていた。

その後、本腰を入れた事故死減少プロジェクトが功を奏し、ピークより78%(約5分の4)もの事故死減に成功した。

★交通事故死者数の推移
→ https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_tyosa-jikokoutsu

いったい何が功を奏したのか?

1番目は「シートベルト着用者率の向上」である。
非着用者の致死率は、着用者の11.4倍であるという。
平成10年の着用率が80%だったのが、平成20年には91%に改善された。このたった10%強の改善によって、致死率が0.65%から0.29%まで半減している。近年の後部座席のシートベルト義務化によって、さらに改善が進むと期待されている。

2番目は「飲酒運転の減少」である。
飲酒・酒気帯びの罰則強化によってこの10年で飲酒運転による交通事故は約3分の1に減ったという。

3番目は「高速走行の事故の減少」だという。
一般道路における80km/h超の事故が4分の1以下となっており、高速走行の事故が減少してきていることが死者数減少の要因の一つであると考えられる。

4番目が「法令違反の歩行者」の減少
10年前と比較して、歩行者の交通違反による死傷者数は36%減少している。信号無視など、違反歩行者の致死率は、違反のない者の3.6倍となっており、歩行者に違反がある死傷事故が減少したことも死者数減少の要因の一つとなっている。

5番目が「車両の安全性向上」である。
追突防止装置や自動走行などで事故数の減少につながっている。この分野は今後、さらに大きな期待が寄せられている。

警視庁では3年後の2020年までに年間の死者数を2,500人以下にする目標を掲げている。

官民一体となって問題に取り組めば、こんなに素晴らしい成果を上げられる。こんな調子で少子高齢化対策も結果を出していきたいものだ。