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アメとアメなし

Rewrite:2014年3月27日(木)

人をやる気にさせる手段として「アメとムチ」の使い分けが効果的な場合もあるが、それに加えて、「アメとアメなし」という方法もある。さらには「アメなしと鞭」の管理をしている所もある。

アメリカの UCLA バスケットボールチームのコーチとして活躍したジョン・ウッデン氏はチームを 12年間で 10回の全米チャンピオンに導いた伝説の指導者である。全スポーツを通じて最強のコーチとも言われるウッデン氏だが、彼の指導法には際立った特徴があったという。それは「アメとアメなし」をベースにしているものだ。選手がうまくできた時には褒め、ミスをした時には褒めない。いったんプレイをストップさせて最初からやり直しをさせた。

ミスが続いた場合でも決して叱ったり罰を与えたりしない。どんなミスが起こっているかを説明し、さらにどうしたらミスを直せるかを教える。それでもミスがなおらない場合には、そのプレイを細かい動きに細分化し、問題箇所を特定してプレイの改善を指導する。要するに徹底した「アメとアメなし」なのである。

ここでいうアメとは褒めることや認めることである。
「オッケー」とか「良し!」「素晴らしい!」などの言葉は練習している選手たちにとって大きなご褒美(アメ)となる。一方、うまくいかなったときやミスしてしまったときはどうするか。そのときは褒めないだけなのだ。普通のコーチなら「ダメダメ」(注意)や、「コラ」(叱責)といったムチを与えるものだが、ウッデン氏は決してそれをしなかったそうだ。かといって、黙ってミスを見逃すわけでもない。

こうしてみると、「アメとアメなし」にも二種類あることがわかる。

・アメと無視(放置)
・アメと再度やらせる(うまくやれるようになるまで教える)
ということだ。

もうすでにベテランの一流プレイヤーになっている人だからといって今さら褒めるのは失礼だ、という意識も不要だろう。どんな一流アスリートも新たな賞賛や感謝や激励といった「アメ」を必要としている。長時間それがもらえないとモティベーションが低下する。
以前と同じことをしていて突然褒められるのも妙なもの。プレイヤーの新しい取り組みやプレイの変化を見逃さない細心さがリーダーに必要であることは言うまでもない。