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松村 寧雄先生に捧げます


今日の『がんばれ社長!今日のポイント』を松村 寧雄先生に捧げます。

マンダラの松村 寧雄先生が一昨日、永眠されました。享年78でした。

マンダラチャート、マンダラ手帳の開発者であり、人生を豊かに生きる智慧を説いてこられた松村先生の訃報に今朝触れて、まだ心の整理がつきません。

「武沢さん、おめでとう。あなたは子育ての勝者です。親離れしたお子さんをお育てになった。なかなかできることではない」長女がアメリカに行き、その後結婚したことをメールで知らされたその日、松村先生とお会いしました。
「長女がアメリカ人と結婚したとメールで報告してきましてね。事後報告で知らされる父親って、間が抜けてますね。お恥ずかしいです。メールに返信する気持ちも持てません」

私がそう言うと、先生は大声で「そうですか。武沢先生、おめでとうございます」と立ち上がって握手の手を差し出されました。戸惑いながらも握手する私。
それどころか、仕事の打ち合わせが済むと居酒屋に行こうと誘ってくださいました。
「今日は祝杯ですから、大いにやりましょう。もちろん私がもちますから遠慮なさらずに」

親に相談もせずに全部自分ひとりで決めてやっていく娘。そのことに不満とさみしさがありましたが、親離れした子をつくるのに成功したのだと松村先生。なるほど見方を変えればうれしい出来事なのか、と新たな視点を与えられました。その夜、家にもどって長女に祝福メールを送りました。

2006年のインドツアーに参加したときも心が晴れない問題を二つ抱えていました。ひとつは仕事のこと、ひとつは人間関係のことでした。
私の顔に悩みが書いてあったのでしょうか。松村先生が食事中にこうおっしゃいました。

「煩悩(ぼんのう)の根っこにある三毒「貪・瞋・癡」(とん・じん・ち)がすべての悩みの始まりですから。特に他人に何かを期待する気持ちが強い人ほど、悩みが深くなる」

私が抱えていた問題は、他人と自分に期待していたことが両方とも裏切られたことへの不満でした。
部下はこうあるべき、経営者はこうあるべき、男(女)はこうあるべき、親(子)はこうあるべき、自分はこうあるべき・・・。
あるべき姿の理想が高いのです。
理想が高いといえば格好がよいのですが、実態は「我欲が強くて、一方的に期待を相手に押しつけていた」ことに気づきました。

先生はどのような問題や悩みがあっても、それに直接答えず、見落としている視点を教えてくださる真の智慧者でした。

仕事には厳しい反面、情が深い方でもありました。
私が松村先生と同じ日に経営計画合宿を企画して激怒されたことがありました。「今夜、東京駅で話し合いたい」と携帯で呼び出され、東京駅まで飛んでいきました。
開口一番、「私たちはコンペティターか?」と言われました。
これほど先生が憮然とした顔を見せるのは初めてでした。しかし私も釈然とせず、「ビジネスですから自分が考えて決めた日程の何がいけませんか」と開き直りました。しかし、あとになって気づきました。
「あなたとはいろいろ一緒にやっていきましょう」という先生のメッセージだったのです。戻りの新幹線でそれに気づき、とても申し訳ない気持ちで一杯になりました。

師であり、父親のようでもある松村先生の存在を失うことは、痛恨の極みです。悔やんでも悔やみきれませんが、今まで学んだことを心に刻み、活かしていくのみです。

先生は近年、体調不良を抱えながらも笑顔で仕事をこなしてこられました。今年1月には手術入院もされ、周囲を大いに心配させたそうです。
その後、春先には驚異の復活をされ、セミナーもされるほどに急回復されましたが、何十年も続けてこられた月例セミナーをご子息の松村剛志社長にバトンタッチされました。そして9月の「マンダラチャートフェスティバル」も欠席されたので心配していた矢先のことでした。

押っ取り刀で明日のお通夜に参列し、先生をお見送りさせていただきます。

今後、松村先生の教えをどのように普及発展させていくのか、クローバ経営研究所の皆さまに集まる期待は大です。
なにかお手伝いできることがあればさせていただきたいと思います
わずかでもそれが先生への御礼奉公になることを願って。 武沢 信行

★クローバ経営研究所 http://myhou.co.jp/