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敗戦、敗北、失敗から学習する組織、しない組織

昨日、阪神タイガースは DeNA ベイスターズに敗れてクライマックス・ファイナルステージ進出の夢を絶たれた。
阪神の金本監督は「選手よ、胸を張れ」とリーグ2位に躍進した今年の成績を讃え、選手ををねぎらった。

A クラス入りしてクライマックスシリーズに進出すること、次に、日本シリーズに出ること、次に日本一になることがプロ野球選手の目標とするならば、日本一に輝いたチーム以外はすべて敗北したことになる。

多くのチームがすでに来シーズンに向けて秋季キャンプを始めた。
「負けた我々は猛練習するしかない」とあるチームのヘッドコーチが言っていたそうだが、猛練習するだけが敗北から学んだことだとすると、いささかお粗末と言わざるを得ない。
「敗北の原因は打てなかったこと、守れなかったこと。以上、お終い」というスタンスでは来年もきっとやられる。

猛練習を始める前に、今年の敗北から何を学んだのか。チームとして学んだこと、個人として学んだことを総括し、練習課題を明確にする必要がある。

「失敗」とは「失う」「敗れる」と書く。
辞書によれば、「やりそこなうこと。目的を果たせないこと。予期した効果をあげられないこと」ともある。

失敗はいやなもの、避けたいもの。人は成功だけを望み、失敗は一度もしたくないと考えがちだ。

だが、本来は成功と失敗は一対のセットなのだ。あるいは一対でないかもしれない。成功が1個で、失敗は100個ぐらいのセットかもしれない。あるいはカーネル・サンダースの起業時みたく、1009回の失敗と一つの成功がセットになっている場合もある。失敗だらけで成功は0個というセットは売られていないと考えるべきだろう。

失敗は成功のプロセスとして欠かせないものという意味では、落語の「前座」が失敗で、最後に登場する「真打ち」が成功ともいえる。
真打ちばかりの寄席よりも若手落語家の芸があるから真打ちが引き立つ。

成功を目指すなら、早く失敗しよう。
考えるヒマがあれば、さっさと失敗しよう。避けなければならないことは、失敗をおそれて挑戦をためらうことだ。
「失敗に対する考え方に革命を起こす必要がある」と『失敗の科学』の著者マシュー・サイド。

この本で私がうなった箇所はいくつもあるが「倒産があるから成功もある」というくだりは思わず膝を打った。
倒産する会社を出さない、失敗する個人も作らない、みんな成功する。
それを目指してかつて、国家全体を社会主義、共産主義にし、国家主導の計画経済を導入した国があった。ソ連や中国などである。壮大な社会実験でもあった。その答えはすでに出た。うまくいかないという答えが。
うまくいかなかった理由は何か。それは失敗者を作らなかったからだ。
失敗のない世の中を作ろうとすると、皮肉なことに、世の中全体が失敗する。

失敗がある世の中だから健全に社会は成長できるのだ。

以下、『失敗の科学』の一節。

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誰かが頭で考えた成功の計画がどれほど秀逸なものであったとしても、成功のプロセスでは試行錯誤と失敗が欠かせないのだ。どこかの企業がダメになることで他の企業が学ぶ。その失敗から別のアイデアが生まれ、社会が前進し最終的には消費者がその恩恵を受ける。
自由市場のシステムがうまくいっているのは、失敗が多くても機能するようにつくられているからではない。失敗が多いからこそうまくいくように作られているのだ。
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失敗から学ぶことの大切さは理解できた。
あとは、失敗から学ぶ方法をどのように作るか、である。

<明日以降につづく>