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ラスベガス現地レポート その3

米国からの現地レポートに対してさっそく数通のメールを頂だいしています。

1.三重県のAさん

・・・今回のラスベガスリポートを見て驚きました。自分たちが想像しているのと大きく飛躍しているんですね。実は、このリポートを私の元部下に見せたところ大変、興味を持ちまして是非、一度ラスベガスに行きたいとのことです。
彼は以前からカジノのディーラーになるのが夢でした。彼は根っからのサービス業大好き人間で今日の文中の「kinukoさん」にとても感銘を受けたようです。
そこでもし差し支えなければ、武沢さんに文中のkinukoさんと彼を引き合わせていただけないでしょうか?

(後略)
・・・
可能ですよ。

2.東京のBさん

・・・私は○○業を営んでおり、おりしもある所からラスベガスに進出してみないかとお誘いがあり、プロジェクトが持ち上がっているタイミングだったので、あまりの偶然さに驚いています。次回以降のレポートを楽しみにしています。
・・・

OK。タイミングが合えば一緒に行きましょう。

和食レストラン「浜田」の浜田幸穂社長とお会いしました

ラスベガスで和食といえば「浜田」というくらい地域に根ざして事業を育ててきた浜田社長は、情熱的なナイスミドルでした。愛媛県宇和島市出身、熊本育ち。東宝演劇部に在籍中の1960年に渡米したのがアメリカとの出会い。エドサリバンショーに出演するためにやってきたという変わった経歴の持ち主です。その後、ヨーロッパ12カ国で6年間にわたってレストラン事業を学んできました。その後、「ラスベガス浜田観光」を設立し、1987年までは旅行業専門の会社を経営。1987年にとうとう和食レストラン「浜田」をオープンさせ、以後は観光部門を幹部に権限委譲して浜田社長はレストラン事業に精力を注いできました。今では10店舗を展開する堂々たるレストランチェーン・オーナーとして更に上を目指し、日夜がんばっておられます。

以下、浜田社長との約二時間におよぶ面談の中から印象的な箇所を抜粋してお届けします。

・・・
私はシェフじゃない。好きな人や素晴らしい腕のスタッフを雇い、任せてきたから私はオーナー業に徹することができた。もし、人に任せず自分で厨房に入ってやっていたらお店など増やせるものではないだろう。自分がシェフじゃなかったし、なろうとも思わなかったのが正解だった。ラスベガスで有名なホテルの「フラミンゴ」「MGM」「ベネチアン」などの社長と交友できるようになったのも私がシェフじゃなく、オーナーに撤してきたからだと思う。

今ラスベガスに150万人の人たちが住んでいるが、中国人も韓国人も、すでに15,000人~20,000人がこちらの市民として活躍している。
フィリピン人などは30,000人も来ている。日本人は何人来ていると思いますか?わずか2,000人というマイノリティに過ぎない。ラスベガスに限らず、いろんな国や都市を回って情報を集め、グローバルマインドを養っておかないと経営に限界がくる。自国内だけでビジネスをやろうとしても立ちゆかなくなると思う。先日みてきた、フランスのルーブル美術館の斬新さを見たとき、美術館もここまで変われるのなら、民間のレストランだってもっと変えなければ、という気になるし、そうした話題をヨーロッパのお客様と会話できれば、そのお客さんはファンになってくれるじゃないですか。

「ベネチアンホテル」の社長から出店要請を受けたとき、彼は私の収支計画をみて、「どうしてすき焼きの平均単価を150ドルにしないのか?ホテル側の集客力でその程度の単価を出せるお客を呼ぶから、収支計画を見直せって言われました。なぜなら、私の計画では単価が30ドルになっていたからです。しかし、私はその場で「それは私の方針ではない」とお断りし、理解していただいた。なぜなら、これ以上取ってはいけない価格というものがある。その価格を越えると、たしかに来てはくれるもののリピート率が一気に悪くなるというラインがある。例えば、超豪華な内装に演出効果バツグンの和食レストランを作ればたしかに話題にはなる。だが、それはグロテスクというものだ。
すき焼きの場合は、客のリピートも考慮すると30ドルまでだ、というのが私の方針だ。
なぜならば、ラスベガスはどのホテルに行ってもバフェ(バイキング)があり、お互いにしのぎを削り合っている。そのバフェの単価は、朝食が1.95ドル、昼食が2.95ドル、夕食が4.95ドルだ。しかもみんなレベルが高い。滞在中にバフェに飽きたお客さんが寿司やうどん、そば、鉄板焼きを食べたくなったとき、いくら素材にこだわったとしても30ドルを超えるものを出してはいけない、と私は思っているのです。

<つづく>