昨年から8月11日が「山の日」として祝日扱いになった。お盆休みとあわせて大型連休になることを歓迎する声がある一方、どうしてこの日なの?と疑問の声も多い。ある調査によれば「山の日」に仕事を休めそうな人は5割程度と、かなり不評のようだ。
私も昨年・今年ともにふだん通りに仕事をする日になっている。
山といえば、世界一高い山はエベレストで8,848メートル。日本一高い山は富士山の3,776メートル。それは誰でも知っているが、それをどのように計測したかをご存知だろうか。
山に限らず地形の高さは標高と呼び、海面を基準に測られている。全国各地に正確な標高を求めた三角点や水準点が置かれているので、そこを起点に専門の機械で高さを測定しているのだ。したがって、かなり正確な高さなのである。
おそらくこの測定法は今後も変わらないと思うが、ひょっとしたら・・・。
別の測定法に変えるべきだという意見もあるのだ。海面の高さは動いているので正しい測定はできない。それにかわって地球の中心から測定すべきである、とする「地心距離」説が唱えられているわけだ。
それによると、世界で一番高い山はエクアドルのチンボラソ、2位はペルーのワスカラン、3位もペルーのイェルパハ、エベレストは32位に過ぎなくなる。同じく日本一の山は富士山ではなく、沖ノ鳥島(おきのとりしま、住所は東京都)ということになる。
今さら世界一と日本一を変更されても困るわけだが、日本では明治から昭和にかけての50年間、富士山が日本一の座を他の山にゆずっていた時期があるのは本当だ。80歳以上の高齢者なら覚えておられるかもしれない。
台湾中央部にある「玉山」(ぎょくざん、3,952メートル)という山である。
日清戦争で清国(今の中国)に勝利した日本は1895年(明治28年)に台湾を割譲された。その後、1945年(昭和20年)第二次世界大戦で日本は敗戦し、台湾は中華民国に編入されることとなる。
その間、ちょうど50年間台湾は日本の統治下におかれていた。つまり、その期間は日本一の山は玉山だったわけだ。
明治天皇は富士山を超える日本一の山という意味から玉山を「新高山」(にいたかやま)と呼んだ。
昭和16年12月、真珠湾攻撃における「ニイタカヤマノボレ」の暗号は「12月8日午前零時を期して戦闘行動を開始せよ」の意味だった。
奇しくもこの暗号が打たれたことで日米が開戦し、4年後に日本はニイタカヤマ(玉山)を手放し、富士山が半世紀ぶりに日本一の座を取りもどすことになる。