※本稿に登場する人物、会社名は架空のものです。
ただし、出来事そのものは実話です。
伊畑信次(いばた しんじ、仮名)は今年40歳。
学校を卒業したあと、東京で住宅販売の営業マンをやった。
「どうせやるなら、
いったいそれはどんな商品、どんな事業だろうか?
伊畑は3ヶ月間考えつづけた結果、「太陽光発電」と「
自分ひとりで訪販していては自分が食べるだけでおしまいだ。
株式会社ワクワクが打った求人広告には数名の応募があった。
「正攻法じゃダメなんだ」ということを伊畑は学んだ。
結婚したばかりの新妻に聞いた。「
妻は即答した。「一日3時間で帰れる会社」。
絶句している伊畑の前で妻は続けてこう言った。
「でもそんな会社は秋田にないでしょうね」
「よし、秋田にないのなら、自分がその会社を作ってみよう」
「13時~16時の3時間勤務。残業ゼロ!
数万円の求人広告だったが、数十名の応募があった。
自宅の田んぼや畑の野良仕事を手伝っている人や、
数十名の応募者の中から正社員3名、
いずれも優秀な人材だった。だが、
鍛えられた伊畑の営業軍団は、二ヶ月目からフィールドに出る。
飛び込み訪問である。
1.呼び鈴を押す
2.相手が応答するので、用件を伝え、ドアを開けていただく
3.玄関先で立ち話をし、奥にあげていただく
4.玄関先(応接室)で商談をし、販売をする
伊畑軍団は「2」をクリアすれば販売締結する確率が5割である。
しかも平均客単価は200万円近い。
こういう販売チームを作り上げた株式会社ワクワクは初年度こそ経費がかさんで営業利益は50万円に過ぎなかった。だが、
「本当に全員が3時間勤務なのですか?」
「例外は私だけです。私は朝から晩まで仕事をしていますから。(
私以外の者は全員3時間勤務です。原則は午後勤務ですが、
世間企業のように9時間勤務で500万円稼ぐのではなく、