名古屋市内にあるAカバン店を気に入って利用していた。とくにY子さんの接客が気に入っていたのだが、今、私とA店・Y子さんとの関係は大ピンチだ。
出張用にサムソナイト社製のキャスターバッグを買ったのが昨年の暮れのこと。それ以後4ヶ月ほどで10数回の出張に愛用してきたカバンが、4月に入って不調になりはじめた。引っぱって移動するための取っ手が持ち上がらないというトラブルだ。
細かい経緯を説明しようとすると感情が入ってフェアではない。よって、やりとりをご紹介するのは差し控えるが、修理に40日以上かかり、修理費用5,000円を私に請求してきたのが納得できないのだ。
手短かに言えば、わたしは「キレた」。
きっと争点は、何が原因で故障したのか、という所にあるのだろう。メーカー、小売店、私の三者がそれぞれ不信感をもつ場面だ。
メーカーは、こう思っているはずだ。
こんな簡単に壊れるはずがない。きっとお客さん自身が乱暴に扱ったか(そんなことはない)、飛行会社が乱暴に扱ったに違いない(まだ飛行機に乗ってない)。そんなことの補修費用を無料でやっていては会社が存続できない、と思っていることだろう。その気持ち、企業経営を応援する私として痛いほど理解できる。
小売店のAカバン店とY子さんは、こう思っているはずだ。
お客さんの言い分はきっと信用できる。ウソを言うようなお客さんではない。でもメーカーが費用を請求してきている。この金額をお客さんから回収しないことにはお店が存続できない。ということだろう。その気持ちも当然よくわかる。お店が損害をかぶる必要などない。
私はこのように怒っている。
サムソナイト社は、たった10数回の出張で壊れるようなバッグを作っているメーカーではないはずだ。私が他に使っている同社のバッグはすごく頑丈だ。でも今回のこのバッグはいただけない。不良品としか思えない。普通に使っていて壊れたのだから。交換しろ、とわ言わない。事実40日待ったではないか。でも、その上にさらに5,000円を払えというのはないでしょ。
そして、理屈で言えば、いずれの主張も正しいということだ。あとは、ポリシーの問題なので支払うか支払わないかという決着より、どのような対応をするのかその姿勢に注目している。
いずれの立場であったとしても、自分は正しいから強く押し通せばよいということでもない。
やって良いことといけないことがある。それは、対立してはならないということだ。特にメーカー側、店側はお客と対立構図を作るのは得策ではない。
「怒るお客 VS あやまるお店」「代金請求するお店 VS 拒むお客」というような関係を作って損をするのは店側、メーカー側である。
「武沢さん、私はあなたの味方です。最善を尽くします。今から、もう一度メーカーに事情を説明します。もし、メーカーがそれでも有償だと言うのなら、武沢さん。私から店長にタダにするようかけあってみますよ。」と言ってくれないものだろうか。今の私の一番の欲求はそこにある。
金銭ではない。私の言い分を聞いてくれて信用してくれる、私の主張実現のために最大限のことをしてくれる。そんなお店・店員さんであれば、もうそれだけで大感激だ。
災い転じて福となす。大切なのはクレーム・トラブルの処理結果ではなく、処理のときの姿勢なのだ。
そして、「私はあなたの味方です」と言い切ってくれたら、私はその瞬間に「もういいよ、分かったから。ありがとう。」と、5,000円を払う。
一度でも対立の構図を作ってしまうと、あとは何を言っても「私はあなたの敵です」としか聞こえてこないものだ。
さあ、この問題。今日あたりが勝負どころだ。