★テーマ別★

正直者はバカをみるのか?

「その知及ぶべし、その愚及ぶべからざるなり」(論語)

(彼の)賢い点は真似できるけれども、馬鹿正直な(無邪気な、私心がない)ところは真似ができないという意味である。

孔子がいう「愚」とは、損得より善悪を選ぶ人。あくまで正直・誠実に生きる人をいう。その結果、誰かに裏切られることがあるかもしれないが、人に騙されないでいようと疑って生きるより、人を信用して騙されたほうが良いという哲学になる。そういう生き方がトップにふさわしいと私も思う。

以前、ある場所でそんな話をした。二人の人がそれを聞いていた。
すると A 氏はこう言った。「おめでたい考えだね。そんな話を外国人の前ではしないほうがいいよ。あなたの回りに人が群がるから。もちろん騙すためにね」
隣にいた B 氏はこう言った。
「私も正直でありたいと思います。だけど騙されるのは好きじゃない。
騙されない正直者ってあるのでしょうか?」

以下、そのときの会話。

A:正直者はバカを見るというけど、正直者って人になめられやすいよね。ビジネスではなめられた時点でそれで終わりさ
B:ということは、正直者はやっぱり騙される運命にあるわけですね
A:そうとは言いきれないが、騙される確率は高いだろうね
私:逆に聞きたいのだけど、どうしてそんなに騙されることを嫌がるの?
A:誰だって騙されてうれしい人間なんていないでしょ
私:意図的に騙すこともあれば、意図せずに結果的に騙したことになるケースもある。どちらにしろ、期待外れに終わることはすべて騙されたと言えなくもない
A:騙されたときの「なめられた」という悔しさが一番辛いね
私:たぶん私は何度も騙されたことがあると思うけれど、騙された瞬間にそのできごとを忘れてしまう。アジアのある都市で駅からホテルまで5,000円かかったが、現地の人に聞いたら500円で済む距離だと言われた。「まんまとやられた」と笑い話にしたが、騙された辛さは一瞬で忘れてしまった
B:うわぁ、寛大だな~
A:それは金額が小さいからだよ。ゼロが4つか5つ増えてごらん、絶対笑ってなんかいられないから
私:たしかに。やられた金額が5,000万円とか5億とかになれば、血眼で犯人を探すでしょうね
A:きっとそうさ
私:ということは、人の器というのは幾らまでなら騙されても平気かという問題かもしれませんね
A:それは乱暴な見解だな。俺なんか1円でも騙す奴は許さない
B:正直=器、とは面白い見解ですね。

あなたはいかがお思いだろうか?