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100%の出席率を求める

遠足全体の速度は一番足の遅い子のスピードになるという。それと同じで、会社の実力は一番弱い部門の実力になるというのが私の持論だ。たとえば、マーケティングはとても優れていて業績も伸びている。
だが、内部管理が弱くて請求漏れが多発し、在庫もどんどん膨らんでいるとしたら、管理部門の弱さが実力となる。時間の問題で倒産するだろう。

人も会社も「長所を伸ばす」という考えがあるが、それは二番目にやること。最初にすべきことは、短所を補正し、目立った欠点をなくすことである。そのあとから思いきり長所を伸ばせばよい。

中小企業は圧倒的に内部管理が弱い。
A 製作所(30名)に二人の女性社員がいる。ともに総務経理の仕事を担当している。入社時に「残業はしなくて構いません」「懇親会や社員旅行は自由参加です」と伝えてしまったせいで、二人とも判で押したように定時に帰る。定時帰宅は問題ないが、懇親会やお花見、ボーリングなどのイベントにも出席しない。
「そのままでいいの?」と私が尋ねると、社長は「最初にそれを許可しましたからねぇ」と歯切れがわるい。

従業員が何百名もいるのならそういう社員がいても不思議はないが、30名の会社にそういう社員が複数いたら問題である。
ついに昨年は経営計画発表会に二人とも欠席した。前年までは出ていたのに、「家庭の用事で」という二人とも同じ理由で欠席した。

まだ若い A 社長は、「なかなか難しいですね」とため息をつく。
「何が難しいの?」と聞くと、「人使いが難しいです」という。「遠慮しているからだよ」とわたし。
「こういう会社にしたいから、あなたにはこういう動きをして欲しい」と腹を割って伝えればよい。こちらの期待を伝えずに、相手に期待通りに動いてもらおうというのは虫が良すぎる話だ。

いまからでも良いので理想のチーム像を掲げ、それにむかって三年計画で社内を変えるべきだろう。
後日、 A 社長は私にこんなメールを送ってくれた。
次のようなチーム作りに取り組むという。

・・・
1.原則として「残業ゼロ」の会社をめざす
2.懇親会やイベントへの社員出席率を95%以上にする
3.経営計画発表会への社員出席率を95%以上にする
4.社員旅行への社員出席率を95%以上にする
・・・

私は遺憾ながら反対した。
挑戦するのはこういうチームではないだろうか。

1.「残業ゼロ」の会社にする
2.懇親会やイベントへの社員出席率を100%にする
3.経営計画発表会への社員出席率を100%にする
4.社員旅行への社員出席率を100%以上にする

半月後 A 社長にお会いした。
「100%の出席なんて出来るのでしょうか?」と言う。
「ホントにあなたは遠慮のかたまりだね」と私。

<あすにつづく>