「今でも覚えてますよ。最初に売れたのは19万9800円のビデオカメラ。車で長崎市から佐世保市の店に帰ったら、すでに20台以上も注文が入っていた。結果を聞いて、思わず『うわあー』って大声が上がってしまいましたよ」 高田明社長(54才)は注文数にびっくりした。
長崎県平戸市で生まれ、大阪の大学ではESS(英会話クラブ)活動に没頭した。卒業後、関西や欧州でサラリーマンとして営業経験を積む。25歳で実家のカメラ店を手伝い始め、業容拡大で独立。
13年前の1990年に行った地元ラジオ局での通信販売でなんとビデオカメラがとうとう50台も売れてしまったのだ。
「いける!」
これを契機に通販事業に本格参入。カメラ以外の扱い品目を急速に拡充していくことになる。94年にはついにテレビ通販に参入。
これが長崎県佐世保市に本社を構える「ジャパネットたかた」の立ち上がりである。今や資本金1億円、年商624億円、経常利益32億円、従業員数285名の堂々たる企業だ。わずか13年前、地方の小さなカメラ店でしかなかった同社が、通販業界のリーディングカンパニーにのし上がった。
ジャパネットたかた公式サイト http://www.japanet.co.jp/
同社業績の推移
http://www.japanet.co.jp/home/company/kaisya/index.html
高田明社長本人の講演テープは少々古いものながらここで入手可能
http://www.jmca.ccsj.com/tape/zenkoku/wakate.html
昨日のテレビ番組スーパーテレビ情報最前線『潜入!通販ワールド巨大市場の秘密公開』をご覧になった方は、高田社長の歩みと挑戦をみて何を得られただろうか。
通信販売という急成長市場にタイミング良く登場した、時代の寵児という見方があるかもしれない。だが、それだけではないはずだ。なぜ彼だけがこれほどの急成長を遂げられたのかを考えることで、あなたに適応できる何かを見つけられるかも知れない。
高田社長の成功の理由は一つではない。複合要因に違いない。だがあえて一つだけ取り上げるとすれば、私は高田社長の「偉大ゾーン」への固執に注目したい。
ごく普通の人が、何かをきっかけに急に時代の寵児になり始める時がある。それは、本人が「偉大ゾーン」に固執することと、時代の要請がマッチしたタイミングである。
かねがね「がんばれ社長!」でもご紹介してきた偉大ゾーン。それは、次の三つの分野に仕事の領域を絞りこむことであった。
1.大好き
2.得意
3.利益になる
高田社長は通販市場が急に伸びると見込んで今の会社を興したのではない。もともと、売るということが「大好き」で「得意」で「利益」につながることであり、それを極めてきたからである。
「偉大ゾーン」をもっと極めようとしていたら、目の前にテレビ・ラジオ・インターネットを使った通販というやり方があったに過ぎない、と私はみている。
あなたの「偉大ゾーン」は何だろう。今やっている仕事は」「偉大ゾーン」から逸脱してはいないだろうか。再点検してみよう。